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自律型AIはPoC止まりか業績を上げるか──デロイトが新設したFDE組織の役割と3つのアクションとは

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 2022年末の生成AI登場から数年。PoC(概念実証)の熱狂を経て、日本企業はいま、AIをいかに実務プロセスへ組み込み、具体的な財務インパクトを生み出すかという「本格実装フェーズ」への転換点を迎えている。デロイト トーマツ グループ(以下、デロイト トーマツ)は2026年4月30日、メディア向け発表会を開催。AI活用の主戦場が「単体ツール」から「業務プロセスへの統合」へと移る中、同社が打ち出したのは、戦略と実行を高度に融合させる新職種「FDE(Forward Deployed Engineer)」の活用加速と、それに伴う「成果報酬型」ビジネスモデルへの転換だ。本レポートでは、デロイト トーマツの首藤佑樹氏、藤岡稔大氏らによる講演を通じ、AIレディーな組織へと進化するための新たな人材定義と、コンサルティングサービスの未来像を紐解く。

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AI時代の最大の障壁「PoCの壁」

 「AI施策によって将来的に収益を伸ばしたいと考える組織は74%に上る」と、デロイト トーマツのグローバル調査結果を引くのは、日本のコンサルティング事業成長責任者を務める首藤佑樹氏だ。しかし、その期待とは裏腹に、多くの企業がPoC後の本番化において「高い導入コスト」「不透明なビジネス価値」といった障壁に直面している。

 この「実装の壁」を打破するためにデロイト トーマツが定義したのが、DS(Deployment Strategist)とFDE(Forward Deployed Engineer)という2つの役割だ。

 「我々は単純にテクノロジーを実装して課題解決をするだけではなく、最終的には企業価値向上まで常に視野に入れたビジネスモデルに変えていく」と首藤氏は強調する。

 DSは、企業価値を構造化して「どこにAIを投入すれば業績が上がるか」という変革ロードマップを描く、いわば「軍師」の役割を担う。一方のFDEは、顧客の現場に深く入り込み、一次情報を掴んだ上で、短サイクルで実装・検証を回す「実行部隊」だ。

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 特筆すべきは、これら専門人材の活用に合わせ、コンサルティングのプライシング(値決め)自体を刷新する点にある。首藤氏は、作業時間に対して対価を得る「タイム・アンド・マテリアル」型から脱却し、「2030年にはAI関連案件のうち成果報酬型案件の割合を30%以上に引き上げる」という野心的な目標を掲げた。これは、AIによる変革が「コスト」ではなく、確実に「リターン(企業価値)」を生むという同社の自信の表れとも言えるだろう。

DSとFDE:戦略と実装を橋渡しする新職種

 続いて登壇した藤岡稔大氏は、FDEが必要とされる背景を技術的な側面から解説した。従来のシステム開発(ウォーターフォール型)とは異なり、AI、特に自律型AI(エージェンティックAI)が普及する環境下では、現場の状況に合わせてシステムを柔軟に作り変えていく「アジャイルなエンジニアリング」が不可欠となる。

 FDEとは、顧客の現場業務・データ・システムを横断して一次情報を掴み、課題を実装可能な要件へ翻訳。短サイクルで開発・検証・実装を回して成果を実運用で創出する役割だと言える。

 藤岡氏は、FDEが取り扱うシステムの全体像について、ユーザーが直接操作するアプリ層から、APIで接続されるシステム連携層、さらには高度な検索を支える「知識基盤(セマンティック・レイヤー:データの意味定義)」まで、6つの領域を網羅する必要があると説く。

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 「FDEには、ソフトウェアエンジニアリングのスキルだけでなく、現場の課題を解釈する『ビジネストランスレーター』としての能力も求められる」と藤岡氏。同社では、この新しい人材像を育成・管理するために「FDEマネジメントオフィス(FMO)」を設置。人事制度や資格制度の構築を含め、組織横断でFDEの質と量を担保する構えだ。

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 AIが「便利なツール」で終わるのか、それとも「業績を押し上げるエンジン」になるのか。その分岐点は、戦略を描くDSと、現場で実装を回すFDEという、デジタルとビジネスの境界線を越境できる人材を確保できるかどうかにかかっている。

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「10万時間削減」の罠を越え、財務インパクトを創出する方法

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

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