会議の拘束時間と負担を大幅に軽減する方法
──オフライン中心の文化を変えるには、「会議」のあり方も見直さなくてはいけませんね。
リモートワーク導入でむしろオンライン会議が増え、生産性が落ちたという声をよく聞きます。情報共有、アイデア出し、意思決定といった会議の目的ごとに手法を工夫すべきです。特に情報共有を目的とする会議は「非同期」で実施すれば負担は激減します。
そこで役立つのがビデオメッセージツール「Loom」です。録画動画にコメントやリアクションができる機能や議事録の自動生成機能を備えているため、非同期での双方向コミュニケーションが可能です。世界各地に社員がいるアトラシアンでは、Loomによる非同期の手法を取り入れることで、会議の拘束時間を劇的に減らしています。
──「ページ駆動型会議」という施策についても伺えますか。
「会議を始める前にページ(企画などの資料)を必ず準備する」という方針です。会議前に、組織のナレッジ(知識・情報)を共有・蓄積するためのナレッジ共有プラットフォーム「Confluence」などで、アジェンダを明記したページを作成します。参加者はそれを読んでから臨みます。ページ内のチャット機能で事前にやり取りを完結させることも可能です。
このメリットは「タスク中心の思考」が定着することです。ツールが分散していると情報の混乱を招きますが、「Teamwork Collection」でタスクごとにコミュニケーションを整理すれば、どの業務の話に関してはどのツールで管理していたかなどで迷うことがなく、情報検索の負担が少なくなり自然と効率が高まります。
AIを“チームメイト”にする「Rovo」
──Teamwork CollectionにおけるAIの活用について教えてください。
AIアシスタント「Rovo」を提供しています。アトラシアンの研究チーム「Teamwork Lab」が行った調査『State of Teams 2025』調査では、業務時間の約4分の1が「情報を探す時間」に費やされています。SaaSの急増で社内情報が分散した結果です。
Rovoは「検索」「チャット」「エージェント」の3機能でこのような課題を解決します。最大の特徴は、アトラシアン製品だけでなくGoogle ドライブやSlack、Salesforceなどの他社のSaaSの情報も横断的に検索し、文脈に沿った回答を出せる点です。
──具体的にどう利用されているのでしょうか。
たとえばオンボーディングです。入社直後の社員が文書の場所や申請方法をRovoに尋ねれば、社内情報を横断検索して手順を明示してくれます。他にもセールス社員が商談前に過去の活動履歴から商談戦略を立案したり、運用担当者が過去の事例から対応策を出力させたりと、幅広い業務で「AIがチームメイト」として活用されています。
「Rovo」がナレッジマネジメントを可能にする理由
──ChatGPTやGeminiなどの利用と何が違うのでしょうか。
裏側に「Teamwork Graph」という独自のデータ基盤があることです。これは、組織内の「人」と「仕事」の関係性を網羅した地図のようなものです。「誰が(Who)」「何を(What)」「いつ(When)」「どこで(Where)」「どうやって(How)」行ったかというメタデータをリアルタイムで収集し、つなぎ合わせています。
たとえば「先週チームは何をしていた?」とRovoに聞くとします。一般的なAIならカレンダーを見る程度でしょう。しかしTeamwork Graphがあれば、「Aさんはデザインのタスクを完了し、Bさんがそのプルリクエストをレビューして、Cさんが関連するマーケティング資料を更新した」というように、仕事の文脈(コンテキスト)を理解した上で回答できます。
単なるキーワード検索ではなく、組織の動きそのものを理解したAIが「同僚」としてサポートしてくれる点が大きな違いです。

