アクセラレーションプログラムとCVCによる共創
では、具体的にどのようなイノベーションの取り組みが行われているのか。中村氏はまず、外部の知見を取り入れる「攻め」の事例として、アクセラレーションプログラムとCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)の最前線を紹介した。
アクセラレーションプログラム「SHIMZ NEXT」では、脱炭素化や資源循環などの課題をともに考えるパートナーを募集。約100社の応募から16社を選定し、共創型のPoCを実施している。
たとえば、TBMとは作業所から出るプラスチックごみを再生ペレット化し、カラーコーンに再製品化する資源循環の取り組みを推進。また、九州大学発スタートアップのCarbon Xtractとは、同社の膜DAC(Direct Air Capture)技術を用いたCO2回収装置をNOVAREに設置し、水耕栽培に活用するPoCを東京都の交付金事業として実施中だ。
一方のCVCは、10年間で100億円の投資枠を設定し、投資リターンではなく事業シナジーを重視して出資を行っている。
「PicoCELA様にはWi-Fiメッシュシステムの技術があり、通信環境が課題だった当社の超高層案件やトンネル工事現場で累計400台が活用されています。これは当社で囲い込むのではなく、建設業界全体のプラットフォームに育てたいと考えています」
他にも、次世代の革新的技術の情報を早期入手するためのDelight VenturesへのLP出資など、多彩なエコシステムを形成している。
社内起業家育成と最先端技術の現場実装
続いて、社内からのイノベーションを育てる取り組みとして紹介されたのが「社内起業家公募制度(CV制度)」と「Zテーマ」だ。
CV制度は「清水の舞台から飛び降りる」というキャッチフレーズで2022年にスタート。第1期では、被覆廃線から銅を取り出す事業をアフリカで展開しようとするDO・CHANGEや、伝統工芸品を海外の富裕層他に販売するプラットフォームRoca Japanが起業。第2期では、イタリア式避難所システムを日本に導入するシェルターワンなどが外部VCからも出資を受けて活動を推進している。
また、「Zテーマ」と呼ばれるシミズグループでの技術展開や事業化を目指す仕組みでは、ステージゲート制を導入している。このうち技術展開型の「Z1型」では、東大発AIスタートアップのLightblueと共同開発した、車両搭載型安全監視カメラシステム「カワセミ」の実装に成功した。
「しゃがんでいたり、体の一部が隠れていたりしてもAIで人を確実に認識し、人と重機の接触事故を防ぐシステムです。この取り組みを機にLightblue様へCVC出資も行いました。さらに同社の自然言語処理技術を活かし、当社の施工管理技術文書を学習させた生成AIを社内展開し、間もなく全社員が使用する予定です」
さらに、新規事業創出型の「Z2型」では、産総研と共同開発した水素エネルギー活用システム「Hydro Q-BiC」の事業化推進や、空飛ぶクルマや自動運転車を含めたMaaSの社会実装など、中長期的なテーマにも挑んでいる。
