カルビーグループは、2035年を見据えた長期ビジョン「2035 Vision」および、2031年3月期までの中期重点方針を含む成長戦略を策定した。

「掘りだそう、自然の力。」というコーポレートメッセージのもと、世界の人々の「食のよろこび」を創造するグローバルな“SNACKING COMPANY”への進化を目指すものである。
国内事業:価値創出型モデルへの深化と領域拡張
国内市場においてカルビーは、少子高齢化や世帯人口の減少といった環境変化を背景に、従来の「スナック菓子メーカー」から脱却し、収益率を最大化する「価値創出型モデル」への転換を急ぐ。
- 4つの市場戦略による付加価値向上:「たのしくてがるに(既存市場)」での圧倒的シェア維持に加え、「とくべつなひに(プチ贅沢)」、「くらしすこやか(健康)」、「たいせつなひとへ(ギフト・土産)」の4領域を強化する。これにより、製品単価の向上と高収益なポートフォリオの構築を狙う。
- 新カテゴリへの拡張:既存のスナック、シリアルを超え、冷凍食品(ばれいしょ)や、エビデンスベースのパーソナルフード「Body Granola」といった新領域への展開を加速させる。
- 次世代基盤の構築:工場DXの推進やS&OP(Sales & Operations Planning)によるサプライチェーンの最適化を図り、生産性の向上と収益基盤の強化を断行する。
海外事業:北米を「最重点地域」に指定し資源を集中
成長の牽引役となる海外事業では、市場規模が大きく同社の強みを発揮できる北米を戦略的重点地域と定めた。
- 北米市場の最大化:「Better for You(健康志向)」と「Indulgence(贅沢志向)」をターゲットにブランドポジショニングを再定義する。今後5年間、北米に資産・資源を集中させ、売上最大化を最優先する方針である。
- 中国・その他地域の基盤構築:中国市場では製品の輸入依存度を下げ、現地化を推進。タイやインドネシアではグローバルな製品供給ハブとしての機能を拡大し、利益基盤を強化する。
- グローバル推進体制の刷新:従来の現地主導型から、CSO(最高戦略責任者)を中核とした体制へ移行。日本本社の知財や人財、R&D機能を能動的に活用し、現地と一体となった戦略実行を図る。
資本政策とガバナンス:非連続成長と累進配当の導入
持続的な企業価値向上のため、財務戦略およびガバナンス体制も抜本的に見直す。
- 戦略的M&Aの実行:5年間累計で1,000億円以上の投資枠を想定。国内の新カテゴリ獲得や、海外スナック事業の配荷力・ブランド力強化のための非連続な成長投資を積極的に行う。
- 累進配当の導入:株主還元方針を、従来の「総還元性向50%以上」から、増配または維持を前提とした「累進配当」へと変更した。一株当たり毎期3円以上の増配を目標に掲げる。
- ガバナンスの強化:意思決定の質を高めるため、独立社外取締役を増員。取締役会の独立役員比率を50%から63%へと引き上げ、監督機能を強化する。
2036年3月期に向けた数値目標
同社は2036年3月期に向け、以下のガイダンスを公表している。
- 成長領域(海外・新カテゴリ)売上高比率: 現在の約30%から50%へ拡大。
- ROE(自己資本利益率): 2031年3月期に10%以上、2036年3月期に15%を目指す。
- EBITDA成長率: 国内事業で+8%以上、海外事業で+15%以上の継続的な成長を見込む。
カルビーは「掘りだした力」を最大限に活かし、日本発のメーカーから世界の“SNACKING COMPANY”へと、その歩みを最速で進める構えだ。
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