パナソニック ホールディングスは、2024年5月12日、楠見雄規グループCEOによる新たなグループ成長戦略を発表した。2025年度までの経営改革の総括とともに、2032年に向けた「AIインフラ」と「社会オペレーション」を軸とした成長ロードマップを明らかにしている。
経営改革の総括:固定費削減と事業の方向づけに目処
同社は、2025年度までの経営改革において、人員削減(グローバル12,000人)や拠点の統廃合(20拠点以上)を含む断行的な固定費構造改革を実施。これにより、2026年度には2024年度比で1,450億円の営業利益改善効果を見込んでいる。また、課題事業と位置づけていたテレビ事業やハウジングソリューションズ事業などの方向づけを完了させ、2026年度末までに「課題事業ゼロ」を必達目標に掲げた。
AIインフラを支えるデバイス領域:3年間で5,000億円を戦略投資
今後の成長を牽引する柱の一つが、AIサーバーやデータセンターの進化を支える「デバイス領域」だ。同社は、多層基板材料(MEGTRON)や導電性高分子コンデンサといった、AIの「頭脳(半導体周辺)」と「心臓(電源周辺)」を支える高付加価値デバイスに注力する。
- 数値目標:2028年度に当該事業の売上高を約1.4兆円、調整後営業利益を2,900億円まで引き上げる計画(2025年度実績:売上5,520億円、利益1,200億円)。
- 投資計画:2026年度から2028年度の3年間で、生産能力増強や次世代商品導入に向け、約5,000億円を戦略投資として投じる。
ソリューション領域:ハードから「ストック型モデル」への変革
もう一つの柱である「ソリューション領域」では、現場労働力不足や環境問題の解決を目指す。同社が強みを持つ「MIF(現場に設置・稼働している製品)」の優位性を活かし、ハード単体の販売からサービス・エンジニアリングを組み合わせたストック型収益モデルへの転換を図る。
具体的には、ショーケースや空質空調、ビル管理システムなどをコネクテッド化し、遠隔監視による故障予知や省エネ運用を提供することで、将来収益の核にする方針だ。
財務規律:自ら創出したキャッシュを成長と還元へ
2026年度から2028年度の累計で2.2兆円以上の営業キャッシュフローの創出を目指す。これを原資として、上述の戦略投資や事業会社の成長投資に充てるほか、株主還元については連結配当性向30%を目安に、安定的・継続的な配当を実施していくとしている。
楠見CEOは、創業者による「命知」から100年となる2032年に向け、社会課題の解決を通じて「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現に貢献し続ける決意を示した。
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