研究開発から得た「着想」を製品化まで導くマネジメント
続いて登壇した中村氏はリコーのフォトニクス研究センターの所長を務めている。現在は、研究開発部門における技術者のマネジメントが主な役割だ。つまり、イノベーションに繋がる着想(Invention)を生み出す「仕組み」を管理している。
中村氏の講演で特徴的だったのは、イノベーションとマーケティングの関係だ。不確実な環境の中で紆余曲折を経て生み出される「イノベーション」と、合理的に答えが導かれる「マーケティング」とは、水と油のように語られることも多いが、中村氏はむしろ「相補的な関係」にあると指摘する。
研究開発の着想を事業開発に繋げる、中村氏流「イノベーションの公式」
中村氏はイノベーションを「新しい顧客価値」と定義して、それが生まれる仕組みを「方程式」として説明してみせた。
まずは『着想・発明(Invention)』ですが、初期に生まれたアイデアの多くは、そのままでは製品化に至ることはありません。そのアイデアがうまくいくかどうかを検証していく機能が、『マーケティング』だと考えています。そのプロセスを“飛ばして”製品化を決定してしまうと、希望がないのにやめられない研究開発の成果が生まれてしまいます。『製品化』とは、アイデアが仮説検証された結果として出てくるものだと言えます。そのプロセス全体から新しい顧客価値が生まれる。つまり、イノベーションが生まれるということです。
「安価なプロトタイプで仮説検証し、リーンなサイクルを回しましょう!」と、一般的に語られている。では、どのような点に注意して仮説検証サイクルを具体的に回すのか。重要だがあまり語られてない内容だ。
中村氏は自身の研究開発の経験から導き出した「FABの観点」が重要だという。FABとは、「Feature(特徴)」、「Advantage(利点)」、「Benefit(利益)」の3つの観点だ。研究開発で得たアイデアを検証し、「消費者の課題」を解決できるのか、製品化・事業化に耐えうるかなどを、FABをポイントに検証していく。
では、その観点から、どのような製品化を実現したのだろうか。中村氏は、とある製品化プロジェクトの事例を紹介した。
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