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ビジネスパーソンに必要なマインドフルネスを理解できる『サーチ・インサイド・ユアセルフ』

『サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法』

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「注意力」を鍛え、「自己」を認識し、「有効な習慣」を創出する

 SIYは、1:注意力のトレーニング、2:自己認識と自制、3:役に立つ習慣の創出という3つのステップがあると先述しました。注意力のトレーニングに役立つのが「マインドフルネス瞑想」とされるもので、「意図的に、今この瞬間を、評価や判断などせずに注意を払うこと」ことを鍛えるものだとしています。感情的にならずに職場や家庭で振る舞う最初のステップは、注意力のトレーニングから始まります。

 では、ここで「瞑想」と「マインドフルネス」の違いを考えてみましょう。本書では、瞑想は「心のトレーニング」で、マインドフルネス瞑想が鍛えるのは「注意とメタ注意」だとしています。メタ注意とは、自己の意識が注意すべきものから“それた”ことに気づくことを指し、集中力を維持するには、この意識がそれたことを認識する「メタ注意」が非常に重要であるとしています。「マインドフルネス瞑想」がそのトレーニングに役立つのだというのです。

 では、どこが科学的なのでしょうか。本書では、瞑想には科学との重要な共通点として「探究心を重視する点」を挙げています。そして瞑想には2つの側面があるとしています。
 そのひとつは「自己発見を目的としている点」だとしています。注意力の鍛錬から始まる瞑想も「メタ注意」により自身の体の部分を感じるようになり、内面の揺らぎ(注意がそれる)などを探ること。つまり、本書のタイトルどおり「サーチ・インサイド・ユアセルフ(己の内を探る)」という側面があるとしています。
 第二の側面は、「内面の範囲を越え、外の世界まで及ぶ点」だとしています。この第二の側面がSIYの2つ目のステップ「自己認識と自制」に関連しています。

 科学的な面に関しては、リチャード・デイヴィッドとジョン・カバットジンの二人による「マインドフルネスストレス低減法」や、サラ・ラザールが行った「瞑想により脳の新皮質の厚みが増すことを示す研究」などを挙げています。例としてあげられた研究において、マインドフルネス瞑想をする人としない人の比較において、前者において明確にポジティブな反応が見られることが報告されています。

 そして、SIYの3つ目のステップである「役に立つ習慣の創出」に関しては、多くのページを割いて、すぐに実行できるものから研修として実施されているものを数多く紹介しています。

 「自己認識と自制」の詳細を語った4章と5章、「有効な習慣」を創出するモチベーションについて語った6章、ビジネスでも家庭生活などにも有効活用ができる「共感」を語った7章、マインドフルネスが「リーダージップに有効である理由」を語った8章など、多くの章がマインドフルネスをビジネスに活用することの有効性を、科学の裏付けをもって語っている良書です。

 次項では、参考文献と関連動画をまとめていますので、是非、それぞれの関心のある書籍、動画をチェックリストして活用下さい。

次のページ
マインドフルネスをより理解するための関連動画と参考文献

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この記事の著者

栗原 茂(Biz/Zine編集部)(クリハラ シゲル)

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