Googleの20%ルールから生まれた、EQをベースにしたプログラム「SIY」
今回ご紹介する書籍は、『サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法』(チャディー・メン・タン[著] / ダニエル・ゴールマン[序文・著] / 一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート[監修] / 柴田裕之[翻訳] / 英治出版[刊])です。
著者のチャディー・メン・タンは、元Googleフェローで「自己開発責任者」であり、 Googleにおけるマインドフルネスプログラムを構築し、現在は、Search Inside Yourself Leadership Institute(SIYLI)会長を務めています。Google時代には、「陽気な善人」という独自の肩書をもっていた著者は、同社の人材育成に大きく貢献した後、2015年に45歳で退社。SIYLIを創設し、マインドフルネスプログラムの普及に取り組んでいます。
「マインドフルネス」や「禅」が、なぜ海外のビジネスエグゼクティブの間で流行っているのかを、書籍の内容を参照しながら、本コラムではビジネスパーソンにお届けしたいと思います。
「マインドフルネス」や「禅」という言葉を聞いて、ビジネスとの関連、宗教や神秘主義との関連に関して、多くの方はどのようなイメージをお持ちでしょうか。書籍内でもあるように、そこにはまだまだ、米国でも多くの誤解があると言われています。本書は「科学」としてビジネスパーソンのビジネスシーンに、かつ、プライベートの生活にも有効な知恵が、より簡単な方法でも紹介されています。
まず本書の内容の中核となるGoogleによる取組みをご紹介します。Googleの有名な取組み「20%ルール」を活用して、本書の著者であるチャディー・メン・タンのグループが開発したのが、マインドフルネスに基づく「EQ(情動的知能)」のカリキュラムで、その名称が書籍タイトルでもある「サーチ・インサイド・ユアセルフ(略称SIY)」です。SIYは、「注意力のトレーニング」、「自己認識と自制」、「役に立つ習慣の創出」の3つのステップがあるとされています。本書ではそれぞれのステップがどのようなものであり、関連研究を参照して科学的な裏付けをセットにして、ビジネスパーソンが実践できる簡易エクササイズなども含めて紹介しています。
本コラムでは、その基礎的な部分のみを紹介し「SIY」の何がビジネスに有効なのか。そしてその根拠と思われる各要素を、一部紹介していきます。簡易ワークなども多く書籍内では紹介されていますが、その詳細に関しては本書を実際に手にとったり、日本でも開催されているワークショップなどに参加したりして、実際に体験頂ければと思います。また、本コラムの最終ページには、関連動画や関連図書を紹介しています。是非そちらもご覧ください。
では、次項からはネタバレし過ぎを注意しながら、基礎的な内容を中心に紹介していきましょう。まずは、EQに関しての言及がある部分を紹介していきます。