日本でも馴染み深い「EQ(情動的知能)」とマインドフルネスの関係
マインドフルネスとは何かの定義するというよりも、Googleで実施されている「サーチ・インサイド・ユアセルフ(略称SIY)」プログラムを理解する。本コラムはそう捉えて読んで頂いたほうがいいかと思います。マインドフルネスとは何かを本書のみで語るのは、少し乱暴なようにも思います。そんな意味でも、SIYプログラムを通して、ビジネスパーソンが馴染みやすい“マインドフルネス”的な要素とは何か迫れればと思います。
では、SIYプログラムの中核となる「EQ」に関して、少しおさらいをしていきましょう。EQの第一人者といえば『EQ――こころの知能指数』の著者で、SIYプログラムの構築にも深く関わっている、ダニエル・ゴールマン氏です。氏の定義によればEQとは、
- 自己認識――自分の内面の状態、好み、資質、直感を知ること
- 自己統制――自分の内面の衝動、資質を管理すること
- モチベーション(動機づけ)――目標達成をもたらしたり助けたりする情動的な傾向
- 共感――他人の気持ち、欲求、関心を認識すること
- 社会的技能――他人から望ましい反応を引き出すのに熟達していること
だと定義しています。
上記5つ領域に分解して整理・定義されるEQは、ビジネスにおいてどのような効果をもたらすのでしょうか。それは3つの側面があるとしています。
本書では、ポジティブ心理学の父であるマーティン・セリグマン氏の「楽観・悲観」という特性を持つ保険のセールスマンの営業成果の研究を参照しながら、ひとつ目の側面「優れた職務遂行能力」に効果があるとしています。また、事業が立ちいかなくなりリストラなどの危機に直面した際にもEQに秀でたリーダーは、ふたつ目の側面「抜群のリーダーシップ」を発揮するとしています。そして、一番重要だとしているのが最後の側面「幸せをお膳立てする能力」だとしています。それはトレーニングで身につけることが可能なEQを鍛えれば、仕事に限らずプライベートにおいても大いに役立つとしています。