NEMは、2014年に発足した次世代のブロックチェーンプロジェクトであり、ネイティブでマルチシグ(複数署名)に対応し、複数のアセットを作成管理できる「Namespace」と「Mosaic」機能を備える一方、それら全てがAPIから容易に扱えるなど、NEMは2年以上にわたり高度で安定したブロックチェーン技術を提供してきたという。
オープンソースプロジェクトであるパブリック型のブロックチェーンNEMに対して、2015年秋からNEMコア開発者3人がテックビューロの元で開発してきたプライベート型のブロックチェーン技術が「Mijin」になるいう。
「Mijin」は、地理的に分散した環境で秒間4桁のトランザクションを安定して捌くなど、プライベートな利用環境では圧倒的なパフォーマンスを提供するという。4月には、Dragonfly Fintechの協力により、銀行による第三者実験によってMijinが勘定システムとして適用可能であることが実証され、性能だけではなくその堅牢さも証明されたという。
テックビューロは、Mijinの新エンジンの完成と同時に、それをNEMに無償提供することでオープンソースプロジェクトに貢献することを決定したという。これにより、MijinとNEMのブロックチェー技術をより強化させ、両者の関係をさらに密接とし、双方のリソースを活用しながら相互の発展を加速することを目的として今回の提携になったとしている。
Mijinの新型コアエンジン「Catapult」は、アーキテクチャが根本から見直され、昨年秋から提供されていたバージョンに比較して、次のような点において大幅な改善が施されているという。
- JAVA言語からC++言語への移行によるパフォーマンスの向上
- メモリー管理の効率化
- 柔軟性の向上
- スループットの向上
- 全体的なパフォーマンスの向上
- 安定性の向上
- httpプロトコル通信からソケット通信への低レイヤー移行
- ネットワーク通信の効率化
また、Mijinは、次の理由により、初期のバージョンからNEMとの共通API・仕様を維持してきたという。
- 既存NEMアプリケーションの活用
- 開発コミュニティの共有と活性化
- パブリック(NEM)とプライベート(Mijin)の両タイプのブロックチェーンを活用したアプリケーション開発の効率化
今後は、MijinとNEMがより密接に協業することにより、単にAPI仕様の互換性を保持するだけではなく、企業体であるテックビューロとオープンソースコミュニティであるNEMを矛盾なく融合した、新たなエコシステムの形成をめざすとしている。
テックビューロでは、2016年夏にMijinのオープンソース化と、世界に向けてデュアルライセンシングによるディストリビューションを開始する予定だという。