「ハンガーのデザイン」は人に優しいのかを疑ってみる
「ハンガーにスーツをかけようとする時に、どのような問題が発生するか?」という問いかけから村田氏の講演は始まった。
多くの人はハンガーにまずは上着をかけると思うが、そうするとズボンをハンガーにかけにくいという問題が発生する。解決策としては「上着とズボンを別々のハンガーにかける」もしくは「ズボンを先に脱ぎ、ハンガーにかける」ことが考えられるが、村田氏が「スーツの上着より先にズボンを脱ぐ人はいるか」と会場に問いかけたところ、約100人の中で手を挙げたのはたったひとりだけ。つまり、ハンガーはマイノリティのために設計されていることになってしまう。
このような問題は、新しいプロダクトをつくる際に「行為」に注目しないことで起こる。本稿では人々の行動に注目し、問題解決を果たすイノベーションを起こす方法論である『「行為のデザイン」思考法』について、「ヒト・モノ・情報のインターフェイス」「行為を妨げる8つのバグ」を中心に考えていく。