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SWOT分析の定量化と「戦略の選択」

第19回

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SWOT要因に対し「戦略候補の重要度」を定量化

 次に、各々のSWOT要素に対する「戦略候補の一対比較」を行っていきます(図7)。たとえば、「健全な財務構造という強みの活用にとって、直営店舗を展開するという戦略は、革新的かつ低価格の製品を開発するという戦略と比較して、同じくらい重要である」という判定を下したとしましょう。その場合の評点は、当然ですが1となります。

図7. 強みに対する戦略候補の一対比較図7. 強みに対する戦略候補の一対比較

 4つのSWOT要素に対する戦略候補の一対比較の結果サンプルを見てみましょう(図8)。

SWOTに対する戦略候補の一対比較サマリ図8:SWOTに対する戦略候補の一対比較サマリ

ゴールに対し「戦略候補の魅力度」を定量化

 これで、一対比較の作業は終了です。最後に前述の2つのステップにおける結果を整理していきましょう(図9)。この図は、以下のことを意味しています。

最終評価サマリ図9:最終評価サマリ

  1. ゴールの達成にとっての各評価基準(強み、弱み、機会、脅威)のウェイト(重要度)は、各々0.16、0.61、0.16、0.07である。
  2. 各評価基準に対する代替案(2つの戦略候補)のウェイト(重要度)は、前方統合の場合は各々0.50、0.75、0.83、0.25であり、製品開発の場合は各々0.50、0.25、0.17、0.75である。
  3. ゴールの達成に対する2つの代替案のウェイト(魅力度)は、各々0.69、0.31である。

 ゴールの達成に対する前方統合のウェイトは、0.16×0.50+0.61×0.75+0.16×0.83+0.07×0.25=0.69という式で計算されます。このケースでいえば、前方統合(直営店舗を展開するという戦略)の方が、製品開発(革新的かつ低価格の製品を開発するという戦略)よりも魅力的であるという結論に達しました。

 さて、結果を元の階層構造にプロットして確認してみましょう(図10)。

階層構造図10:階層構造

AHP/ANPを様々な領域の意思決定に活用する

 いかがでしたか? AHPは戦略だけでなく、サプライヤーやベンダーの決定など、プライベートでは旅行先や就職先の決定など幅広く利用することができます。今回は、非常なシンプルなケースを使ってご説明しましたが、評価基準の間に相互依存関係がある場合(この場合は、ANPを使います)、評価基準がさらなる階層構造になっている場合、複数のメンバーが参加する場合などでも構いません(少しステップが増えますが)。

 昨年末に、私が運営しているFacebookページ(ビジネスアーキテクチャー研究ラボ)にて、Facebookのクエスチョン機能(なくなってしまいましたが)を利用したアンケートを実施しました(図11)。皆さんに、パン屋さんの経営者になったつもりで戦略を決定するというテーマです。延340人の方にご回答頂きましたが、ソーシャルネットワークを上手く活用すれば、複数の関係者が意思決定に参画することができます。

AHPによるパン屋の戦略決定図11:AHPによるパン屋の戦略決定

 AHP/ANPが万能だとまで主張するつもりはありませんが、意思決定ができない組織、理屈はないけれど押しの強い人の意見に流されてしまうビジネスケースにおいて、試してみてはいかがでしょうか?

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AHP/ANPを様々な領域の意思決定に活用する

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この記事の著者

白井 和康(シライ カズヤス)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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