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SWOT分析の定量化と「戦略の選択」

第19回

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 前回は、自社の強みや弱み、機会や脅威、重要成功要因などのアセスメント要素から戦略を決定するプロセスについてご説明しました。今回から数回にわたり、さらに踏み込んだ評価分析手法やビジネスのダイナミズムに関して議論していきたいと思います。

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意思決定に階層分析法を活用する

 いつものとおり、復習からスタートしていきましょう。図は、ビジネス計画の論理的な構造を表すモチベーション・モデルの最初の2つの柱である「影響要因」と「アセスメント」の要因間の関係性を表したものです(図1)。前回は、外部影響要因から「機会と脅威」、内部影響要因から「強みと弱み」を判定し、ウェイト付けを行ったうえで、“最も魅力的な戦略を決定するまでのプロセス”についてご説明しました。

影響要因とアセスメント図1:影響要因とアセスメント

 ビジネスアーキテクチャーでは、ビジネスの構造を表すために「概念モデル」を活用してきました。それは、ビジネス要素とその属性、ビジネス要素間の静的な関係性を表すものでが、実際のビジネスを評価分析する際には、因果関係や相互作用あるいは時間変化など、つまり動的な構造を検討することが有効になる場合があります。

 今回から数回にわたって、このようなビジネスのダイナミクスな側面について触れていくことにします。例として、アセスメント要素である「強みと弱み」、「機会と脅威」のダイナミクスについて考えてみましょう(図2)。

ビジネスのダイナミクス図2:ビジネスのダイナミクス

 1つ目は、前回の戦略策定プロセスにおいて説明したとおり、各々のアセスメント要素が「自社に与える影響や重要性は異なる」ということを念頭に置かなければなりません。そのために、「ウェイト付けとスコアリング」という手法を取り入れました。

 2つ目は、いくつかの要素の間においては、「相互作用が働くことがある」ということです。たとえば、ある外部環境における機会が内部の強みを増幅させ、さらに別の強みに作用するようなケースです。

 3つ目は、「強みと弱み」、「機会と脅威」は「コインの裏表となるケースがある」ということです。たとえば、柔軟性という強みは一貫性がないという弱みでもあり、外部環境の変化は機会であると同時に脅威でもあるということです。これは、アセスメントが評価者の主観に大きく依存することに起因するためです。

 4つ目は、各々のアセスメント要因は「時間の経過によって変化していく」ということです。皆さんが年に1回健康診断を受けるように、SWOTの再評価も定期的に行う必要があります。

 今回はSWOT要因の客観的かつシステマチックな定量化、それに基づく戦略の決定を取り上げることにしましょう。

次のページ
主観評価と客観的なシステムアプローチの統合

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この記事の著者

白井 和康(シライ カズヤス)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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