ゴールに対し「SWOT要因の重要度」を定量化
AHP/ANPの中核は、「一対比較」と呼ばれる作業プロセスにあります。これは、ある目的(中間目的を含む)に対する2つの要素を個別に比較し、その重要性を数値化することを意味します。まずは、市場認知度を高めるというゴールの達成に対して、各々のSWOT要因を比較していきましょう(図5)。
一対比較における重要度は5段階で評価され、各々に評点が与えられます(デフォルトのAHP/ANPでは9段階ですがシンプルにするために5段階にしました)。たとえば、「市場認知度を高めるというゴールの達成にとって、健全な財務構造という強みの活用は、顧客ニーズに対する意識の低さという弱みの克服と比較して、ほとんど重要でない」という判定を下したとしましょう。その場合の評点は、1/5(つまり0.2)となります。
一対比較は全ての組合せにおいて実施されますので、このケースにおける組合せは6パターンとなります(4×3/2=6)。全ての組合せの一対比較を終えたら、結果を表に整理していきます(図6a)。結果を埋めるのは○で囲んだ部分だけです。
たとえば、「健全な財務構造という強みの活用は、顧客ニーズに対する意識の低さという弱みの克服と比較して、ほとんど重要でない」ということは、裏返せば「顧客ニーズに対する意識の低さという弱みの克服は、健全な財務構造という強みの活用と比較して、非常に重要である」ことと同じですから、その評点は自動的に1/5の対数である5となります。
次に、「幾何平均」とそれに基づくウェイトを求めていきます(図6b)。ちなみに強みの幾何平均は、「(1×1/5×1×3)^(1/4)=0.88」という式で計算されます。ウェイトは、幾何平均の合計が1になるように再計算するだけのものです。Excelのようなソフトウェアを使えば簡単ですよね。
最後に、「整合性指数(CI: consistency index)」を計算します。これは、「AはBより重要であり、BはCより重要であり、CはAより重要である」というような矛盾がないかどうかを見極めるためのものであり、一般的には0.15以下であれば良いとされます。