エンタープライズ分野でのブロックチェーン技術を追求するBCCC
ビットコインなどの仮想通貨のプラットフォーム技術として生まれ、インターネットに匹敵するイノベーションとも目されているブロックチェーン。日本でも大手金融機関からスタートアップ企業までの取り組みが始まっている。
ブロックチェーン推進協会(略称BCCC)は今年4月に34社で発足したブロックチェーン技術の普及・推進を目標にする団体。ブロックチェーン技術を金融分野だけではなく、あらゆる産業分野に適用することを目標に掲げている。参加企業は、日本マイクロソフトやインフォテリア、カレンシーポート、テックビューロなどのIT企業から、銀行や監査法人まで幅広い。会員企業は6月末では61社へと拡大し、各社が普及委員会、技術委員会、運営委員会などの活動を行っている。
特定の技術による囲い込みではなく、「ブロックチェーンニュートラル」「プラットフォームニュートラル」「ガラパゴス化しない」「反社会的勢力の排除」などを理念として掲げている。最後の「反社会的勢力の排除」は技術的な団体としては異質に見えるが、金融取引業務や仮想通貨の関連もあり、強調されているようだ。
日本円と等価ペッグするデジタルJPY通貨のプロジェクトが始動
今回、技術委員会の委員長 杉井靖典氏(カレンシーポート代表)によって、「デジタルJPY発行・流通の社会実験」プロジェクトが発表された。
これは、日本円と等価(1:1)ペッグするデジタルJPY通貨をブロックチェーン上に発行し、流通を可能にするというプロジェクト。第一段階として、BCCC加入各社のサービス内での相互決済環境の構築をめざすという。
今後の計画としては、デジタル円発行方式の技術検討や業務フローの設計、法的側面の洗い出しを行い、国際提案を含んだ論文を発表していく予定だという。
また、技術部会としては、ブロックチェーンによる暗号・圧縮などのセキュリティやスマートコントラクト(契約の自動化)、IoTセンサーやHFT(高頻度取引)のための共同開発プロジェクトも立ち上げる予定で参画企業を募集している。
ブロックチェーン大学校もスタート
また、ブロックチェーンの技術者や導入担当者向けの教育プログラムとして、「ブロックチェーン大学校」を8月から開講すると発表された。
ブロックチェーンに関する体系的な教育カリキュラムを実施する予定で、米ブロックチェーン・ユニバーシティのライアン X. チャールズ氏が作成した教材を元に、ビットバンク社の技術顧問を務めるビットコイン研究者のジョナサン・アンダーウッドが講師をつとめる。ジョナサン・アンダーウッド氏は先ごろ出版された『ブロックチェーンの衝撃』(日経BP)の共著者でもある。
大学校の運営はビットバンク株式会社がおこない、対象はBCCCの参加企業の社員で、第1期、第2期、第3期の三回を予定しており、各期30名、合計90名を参加枠としている。