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内部監査はイノベーションの敵ではない〜 CAが昇格上場を機に実行したこと

サイバーエージェント 鹿倉良太氏インタビュー

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内部監査と言えば、とかく「守り」を優先しがちだ。しかしサイバーエージェントの内部監査室は、2014年の東証一部への上場市場変更を機に、「攻めのガバナンス」を優先した。AbemaTVを初め次々と立ち上がる新規事業群を支えるガバナンスの仕組みを構築した、サイバーエージェント内部監査室の鹿倉良太氏に伺った。

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マザーズから東証一部変更で、ガバナンスは何が変わるのか

株式会社サイバーエージェント 内部監査室 鹿倉良太氏

2014年8月に東証一部への上場市場変更を実施したサイバーエージェント(以下CA)。子会社は70社以上、サービスや社内システムも含め運用しているシステムは500位以上にのぼる中で、いっそうのガバナンスが必要となった。

ルールとしてはマザーズに上場している時と変わらないのですが、東証一部になるとやはり企業としての矜持を強く意識するようになりますし、同時に“人の目”も厳しくなります。

社会からの厳しい評価があり、それに応えるガバナンスを維持しつつ、市場からの期待の応えるための企業価値を上げるための「成長」が問われる。そのためには、何が必要なのか。

まずは『精度』ですね。たとえミスやうっかりであっても、それが“不祥事”として扱われれば、大打撃となりかねません。また、決算スピードの『迅速性』は常に課題というか、取り組むべきテーマとして掲げており、それもマンパワーではなく、ITなどを活用した仕組みの改善で実現していくことが妥当だと考えています。(鹿倉氏)

数字の把握が速ければ速いほど、決済や意思決定のスピードも高まる。決算は“結果報告”ではなく、次期の事業指針を決定する情報の1つであり、未来への羅針盤ともいうべきものだという。

しかしながら、70を超える子会社は、ピラミッド構造ではなく、組織構造もフラットで、それぞれが自社の意思を持ちサービスごとにも会計処理が異なる。そうした複雑化した組織や事業を統合・把握するのは至難の業であり、ITをどう使うかが、その成否を決めると言っても過言ではないだろう。さらに、サイバーエージェントの場合、新しい事業もどんどん立ち上がる。今年4月にサービスインした、インターネットテレビ「AbemaTV」もそのひとつだ。

サイバーエージェントとテレビ朝日が手掛けるインターネットテレビ局「AbemaTV」

新たなサービスには、会計までつながるシステムが重要となる。ビジネスが急速に成長することが前提とすると、手作業によるミスを防ぎ、大量の処理を手早く準備する必要があり、従来の「まずはExcelで管理する」といった手法はすぐに限界をむかえる。
そこで鹿倉氏が主導してシステムの構築をおこなった。ツールとしては、サイボウズ社のクラウド型のDB「kintone」(キントーン)を採用した。

こうして作られたのが、メディア、広告、ゲームなどをドメインとする子会社用の業務管理システム「DOX」である。それぞれのバックエンドの担当者と、本社側の会計や法務業務をつなぎ込み、自動的に処理を行う。たとえば、あるゲーム事業のデータをバッチで取得し、現場での売上げを自動的に上げることが可能だ。そして、事業サイドではそれに基づき、請求書の発行や入金登録などを行い、本社はそのデータを自動的に仕分けし、取得する。売上げの他、原価、販管費などあらゆる収支が統合的に把握される。

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伊藤 真美(イトウ マミ)

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