既存の人材育成モデルを変える「レンタル移籍」が注目されている理由とは
今所属する企業に在籍したまま期間を定めてベンチャーなどの他企業で働く仕組み「レンタル移籍」。イノベーション人材を育てたい大企業の人事部門や、会社に変革を起こしたい、経営・事業開発部門を中心に現在注目されている。
イベントの主催者でモデレータを務めた原田未来氏が代表を務める、株式会社ローンディールはレンタル移籍を推進するプラットフォーム「LoanDEAL」を運営する。原田氏は、創業期の株式会社ラクーン(現東証一部上場)に入社し、13年間勤務し部門長職を歴任。組織開発や新規事業開発などのイノベーティブな部署に身を置いていたが、長年勤務していく内に、自身の成長速度が鈍化することを感じたと言う。自分のスキルが社外で通用するのかということに疑問を抱き、株式会社カカクコムのO2O事業開発部門に転職した。
私は1社目のラクーンでは、ビジネスの立ち上げ期と成長期を体験しました。2社目のカカクコムではより大きく成長し、安定したフェーズでの事業開発を体験しました。ビジネスの成長フェーズにおいて、初期の段階は成功パターンがないので、とにかくアイデアを出してトライアンドエラーで進めていかなければならない。一方で、後期(安定期と成熟期)になると、成功パターンに沿ったマニュアルを作って、分業化して、誰でもできるようにしていくものです。成熟期に近づいていくにつれ、全く新しいものに挑戦していける人を育成するのは、難しくなります。
昨今の潮流として、大企業は既存事業のマネジメントよりも新しいインパクトを事業に与えるイノベーション創出を重視しつつある。新規事業の創出におけるプロセスの循環を活性化させ、絶えずイノベーションを創出することが求められている。企業に在籍しながらイノベーティブな発想を持ち続けるためには、今までと同じような人材育成方法や研修スタイルは通用しない。自身の環境を気軽に変えることのできる、新しい仕組みが必要だ。
そこで、原田氏は出向制度を活用することで大企業の人材をベンチャー企業に一時的に参加させる新たな人材育成のプラットフォーム「LoanDEAL」を2015年9月に開始した。