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The Future of Work(未来の働き方)

人と仕事の出会いを科学する『採用学』から新しい時代の「幸せな働き方」を考える<後編>

ゲスト:横浜国立大学大学院社会科学研究員准教授 服部泰宏氏 

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選考の曖昧さを補完するためにIoTやAIが活用される時代に?

——日本企業の採用活動における曖昧さを補完するために客観的なテストやシステムが有効というお話がありました。いまは部分的な補完に過ぎなくとも、近い将来にはIoTなどを使って、対象となる人の行動分析を行い、人となりや行動原則といった全体性を分析する世界が待っているかもしれません。そうすると人事系の仕事が大幅に消え去るとも言われています。

 確かにルーティンとしての人事の仕事は大幅に削減されると思います。しかし、どんなにAIやIoTが進んでも、人間が担う部分はずっと残るでしょう。たとえば、「エントリーシートにあるキーワードを記載する人の75%が求める人材像と合致する」という結果が得られた時に、どのように採用に組み込むか、ジャッジのしきい値をどうするかなど、採用規準の設計および結果に対する判断は人間にしかできません。

 ただ、そもそも人事領域でずっと仕事をしていきたいという人は少ないですよね。その一方で人事の専任として組織を掌握し、そこから経営を見るようになった人も希有ながらいます。そういう方がもっと登場することで、人事についての見方が変わることを期待しています。

——もしかするとテクノロジーが人事というスキルの考え方を変えていくかもしれません。属人的・主観的なものではなく、スキルをテクニカルに磨くとなれば、もっと戦略的に全体を捉えた採用が実現し、人事に関わる人のキャリアパスも変わってくると思います。

 そうですね。これまで人事関連のテクノロジーは、いわば人事から権限や仕事を奪う方向に進んでいたと思います。つまり、採用する側とされる側のスキルが低いからこそ、間に立って補完するという人事系のビジネスが成り立っていました。しかし、これからは採用する企業側も採用力を高め、それを人事系ビジネスが支えていくという、本当の意味でのWin-Winが成り立つ社会となることが大切です。そこに日本企業として活性化するか、トーンダウンするかの岐路があるように感じます。

 さらにテクノロジーの発達は長期間にわたる「タレントマネジメント」を可能にしていくでしょう。概念的には「キャリア」という言葉が出てきて、長期的に仕事人生を見るという考え方が普及しました。しかし、実質的にはタスクやモチベーションなど短期的な課題に終始し、転職歴などの外形的なプロフィールが「キャリア」とされてきました。しかし、プロフィールが変わってもスキルやタレントは進化・成長していきます。そうした人材の根本にあり、これまで追いきれなかった“本質的な仕事の能力”を長期間にわたって把握し、仕事と連携させていくことが「タレントマネジメント」として求められるようになるでしょう。それも1つの企業内に閉じることなく、人に紐づいたものとなることは間違いありません。そうした企業単位では追いきれないところにこそ、人材系ビジネスの重要な役割があるのだと思います。

『採用学』『採用学』

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