「オープンイノベーション」とは、自社だけではなくベンチャー企業や地方自治体などの他の組織と提携を結び、イノベーションを創出するための方法論である。ハーバード・ビジネス・スクールの経営学者ヘンリー・チェスブローによって提唱されたこの考え方は、どれだけ日本企業に根付いているのだろうか。
ここ数年で、各大手企業がアクセラレータープログラムを立ち上げ、「コーポレートアクセラレーター」のように大企業とベンチャー企業の共創を推進する考え方も徐々に浸透してきた。
本セッションでは、大企業内でオープンイノベーションを推進するイントレプレナー、オープンイノベーションを支援するアクセラレーター、新規事業創出コンサルタントの3者が集い、現場での実践知からオープンイノベーションに対する理解を深めていく。
オープンイノベーションに各登壇者はどのように取り組んできたのか
はじめに、各登壇者がどのような立場やバックグラウンドを持ちながらオープンイノベーションに取り組んできたのか、簡単に紹介する。
大手企業内でイントレプレナーとして活動してきたのは、東京急行電鉄の加藤由将氏、三枚の名刺を持ち、「One Panasonic」「One JAPAN」を立ち上げ、人事面でオープンイノベーションを考えるのが、Panasonicの濱松誠氏だ。
濱松氏はパナソニックに入社後、営業と人事を経験。人事を経験する際に「社員十数万人のパナソニックで横のつながりを作れないか」と考え、2012年にOne Panasonicを設立。当時の社長である大坪文雄氏も含め、社内外を巻き込んだオープンイノベーションに取り組んでいる。その一環として、2016年9月には大企業の同世代で課題解決のための知見を共有し、実践・提言につなげていく団体「One Japan」を設立した。同時期に、パナソニックとしては初の事例となる、資本関係のないベンチャー企業「Path」に出向。大手企業内でのオープンイノベーションの推進や、ベンチャー企業への出向経験から、本セッションに登壇した。
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加藤氏は東急電鉄に入社後、新規事業の立ち上げを2度経験。現在は東急グループとベンチャー企業との事業共創を目指す「東急アクセラレートプログラム」の運営統括をしている。東急グループの創業者である五島翁がM&Aを繰り返してコングロマリットを構築していった事例を挙げ、ベンチャーとの事業共創を通じて東急グループのオープンイノベーションを推進する。
続いて、オープンイノベーションを支援する立場のINDEE Japan 津田真吾氏、津嶋辰郎氏と、Villing ベンチャーパートーナーズ栗島祐介氏の取り組みを紹介する。
INDEE Japanは、イノベーションコンサルティング・新規事業支援を行う企業だ。「イノベーションのジレンマ」のクレイトン・クリステンセンが経営する「INNOSIGHT」の日本初パートナーとしても知られている。同社代表取締役 マネージングディレクターをつとめている津嶋氏がモデレーターをつとめ、津田氏はパネリストをつとめた。
栗島祐介氏が代表をつとめるVilingベンチャーパートーナーズは、アジア・ヨーロッパにおいて教育領域特化型のシード投資/インキュベーションを行っている。日本では、10年間で2000億以上の新産業創出を行うスタートアップを支援する共創型オープンコミュニティ「Supernova(スーパーノヴァ)」の運営も行っている。Biz/Zineではイノベーションを生み出すコミュニティにまつわる連載が人気を博している。
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