米国陸軍士官学校が教える「Be」の確立とは?
「Be」というのは、自分自身がこういう人間でありたい、という確固たる認識のことです。この認識を作り上げることが、リーダーになるために最も重要です。この認識を作り上げることを「Be」を確立する、と言います。これは、リーダー養成機関として世界的に知られているウエストポイント(米国陸軍士官学校)が教えるリーダーシップの根幹をなす考え方です。「Be」を確立し「Be」を生きることで、結果として、リーダーになるのです。
ウエストポイントというのは、アメリカのNYマンハッタンの北、ハドソン川沿いに位置する陸軍士官学校(The United States Military Academy)の通称で、リーダー養成機関として世界的に知られています。
そのウエストポイントがリーダー教育の中で使っている枠組みをBe Know Doと言います。Be(あるべき姿)という土台の上に、Know(知識)を教え、Do(スキル)を訓練するものです。このBe Know Doのうち根幹にあるのが「Be」です。「Be」が確立されれば、直面するさまざまな状況のなかで、リーダーとしての適切な判断と行動が可能となります。
本書は、戦場という厳しい環境において実証されてきたウエストポイント流のリーダーシップの考え方を、自分自身が現在の環境の中でリーダーになるためにはどうしたらよいかという視点でとらえ直し、解説します。リーダー教育を考える経営者や人事担当の方ではなく、環境の中で悩み迷っている個人個人に照準を合わせています。
実際、リーダーシップは全ての人のものです。社長や部長や課長といった役職とは本質的に関係がありませんし、会社の組織の中に閉じた話でもありませんし、ましてやビジネスの世界だけに閉じた話でもありません。リーダーシップを発揮するということは、人生をどう生きるかというスタンスのことです。
したがって、本書を読んでいただきたいのは、明確にリーダーになりたい、リーダーシップを発揮したいと思っている人だけではなく、社会や組織の中で、人間関係をどうとったらよいかよく分からない人や悩んでいる人、行き詰まりを感じている人やその状況を変えたいと思っている人、人生をどう生きていくかを見つけたい人です。本書の目的は、こうした人がモヤモヤした状態から吹っ切れて、次の一歩を踏み出せるようにすることです。
本書は、株式会社ビジネス・ブレークスルーが提供するリーダーシップ養成講座「リーダーシップ・アクションプログラム」でウエストポイント流リーダーシップを学んだ人へのアンケートとインタビュー結果を含めて構成しています。ビジネス環境における悩みやリーダーシップを学んだ効果を生の声として入れていますので、共感しながら読んでいただけると思います。
内容(一部)
・Be とは何か
・自分を変えるきっかけとは/6人のリーダーシップ・ストーリー
・リーダーシップの誤解
・自分の中の確固たるイメージの作り方
・このように成りたい/まずは自分を知ることからスタートさせる方法
・実践ワークショップ/「Be」を確立するためのアクションアイテム
・リーダーシップ・サイクル
・ワークショップ:組織の「Be」を確立する
・風土や関係性の質を上げるためにやるべきこと
・衝突や軋轢にどう立ち向かうか?
・リーダーになるために今できること
など
著者:村上 知紀
(むらかみ とものり)
株式会社フロンテッジ ソリューション本部 副本部長
1996 年慶応大学経済学部卒業。複数の外資系デジタルエージェンシーを経て独立後、2009 年から広告エージェンシーの株式会社フロンテッジに参画。 インターネット黎明期から現在までの間にデジタルマーケティング領域でエンジニア、プロジェクトマネージャー、コンサルタントとして数多くのプロジェクト経験を持っている。著書に『デジタル・クリエイティビティ』『ウェブ解析力』『Web マーケティング基礎講座』等がある。
リーダーシップ・アクションプログラム(LAP)5 期卒業生。1 年間の「Be」確立プロセスを経て、現在はLAP のラーニングアドバイザーも務めリーダー育成にあたっている。