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アクセンチュア最新調査――消費者は特定のサービスでロボアドバイザー利用に肯定的

金融サービスでは人的サービスとロボアドバイザーのバランスが求められる

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 アクセンチュアは、調査「Global Distribution & Marketing Consumer research」を、世界18の国と地域、約3万3000人の消費者を対象に、最新のロボアドバイザーに関するアンケートを実施し、このほどその概要を発表した。(画像の出典は、アクセンチュア「Global Distribution & Marketing Consumer research」)

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 調査によると、世界の消費者の10人に7人が、銀行・保険サービスや退職後プランについて決断する際、ロボアドバイザー・サービス(人間の代わりにコンピュータがアドバイスを提供するサービス)を積極的に利用すると回答している。

 一方、複雑な事柄については従来通り、人に相談したいという消費者も多く、人的サービスとロボアドバイザーの統合を目指す企業にとって、フィジカルな存在と最新のデジタル・ユーザーエクスペリエンス(UX)の最適なバランスでの融合が求められている。

 調査結果では、特定の銀行・保険サービスについて、圧倒的多数の消費者がロボアドバイザーを利用することに肯定的であることが明らかになった。現代の消費者の多くは、開設する銀行口座(71%)、加入する保険(74%)、退職後のプラン(68%)について決断を下す際、ロボアドバイザーの利用を肯定的に捉えている。同技術が当初導入された、従来型の投資の分野に至っては、消費者のほぼ5人に4人(78%)がロボアドバイザーを利用すると回答している。

消費者が求めているのは、温かみのある対面コミュニケーション

 一方、3分の2の消費者が金融サービスにおいて、対面での対応を求めており、特にクレーム対応(68%)や住宅ローンなどの複雑な商品に関するアドバイス(61%)でニーズが高くなっている。

 アクセンチュアの金融サービス部門のシニア マネジング・ディレクターであるピエルカルロ・ゲーラ氏は次のように述べている。

 「現在、銀行や保険、ファイナンシャル・アドバイスなどすべての金融サービス分野で、消費者のロボアドバイザーに対する需要が確実に存在することが分かっています。金融機関は顧客に“ロボ”の選択肢を提供することにより、コスト削減効果が期待できます。一方、消費者からは温かみのある対面コミュニケーションを求める声もあります。従って、金融サービス事業者には、消費者に対し、より魅力的な選択肢をもたらすサービス提供が求められます。そして、その実現には、テクノロジー、支店ネットワーク、スタッフをシームレスに統合する『フィジタル』(フィジカル機能とデジタル機能の融合)な戦略が必要となるでしょう」

 消費者がロボアドバイザーの利用を望む主な理由としては、サービス提供の迅速化(39%)ならびに低価格化(31%)、そしてコンピュータ/人工知能(AI)による、人間よりも公平かつ分析的なアドバイスの提供(26%)を期待する回答が挙がっている。

 今回の調査では、インドネシア(92%)、タイ(90%)、ブラジル(86%)、チリ(84%)などの新興市場で、ロボアドバイザーに対する関心が特に高いことが明らかになった。いずれも、スマートフォンなどのデジタルデバイスを金融サービスのやり取りの主要手段として利用することが一般的となっている国だ。またカナダ(56%)、ドイツ(59%)、オーストラリア(61%)といった需要の比較的低い国でも、調査対象となった消費者の過半数が、ロボアドバイザーの利用に肯定的と回答している。

従来の金融サービス事業者“以外”の企業が人気

 また調査では、消費者が従来の金融サービス事業者“以外”の企業から、金融サービスを受けることに肯定的であることも分かった。3分の1の消費者が銀行サービス(31%)、保険サービス(29%)、ファイナンシャル・アドバイス(38%)の提供元をGoogle、Amazon、Facebookに切り替えるかもしれないと回答している。

 ただ、こうした傾向が強いと推測されがちな18~21歳の消費者では、切り替えに肯定的と回答した割合は41%にとどまっており、従来の金融機関に価値を見いだしている若年層も多く存在することが分かった。また、金融サービス事業者が脅威と捉えるべき対象は、前述したようなテクノロジー大手に限らない。銀行サービス(31%)や保険サービス(30%)の提供元をスーパーマーケットなどの小売業者に切り替えることを検討している消費者も、ほぼ同じ割合で存在している。

 アクセンチュアのシニア マネジング・ディレクターで銀行グループの責任者であるアラン・マッキンタイヤー氏は次のように述べている。

 「消費者はほぼすべての取引において、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)企業のサービスと同等のサービスを期待しています。この期待に応えることは、特に銀行にとって大きな課題といえるでしょう。銀行は、便利なロケーションと最新のデジタル・エクスペリエンスという2つのメリットを同時に提供する支店を構築する必要があります。同時に、テクノロジー大手と対抗するためのオンライン・デジタル・エクスペリエンスの開発も進めなければなりません。今日の消費者の大多数が、銀行との関係を完全に取引のためのものと考えています。顧客ロイヤリティを高めるには、最新テクノロジーをより積極的に活用し、パーソナライズされた商品を顧客が望む時に、望む場所で、望む方法にて提供する必要があります」

パーソナライゼーションへの関心の高まり

 また今回の調査では、3分の2の消費者がそれぞれの状況に合わせて、パーソナライズされた保険アドバイス(64%)と金融アドバイス(63%)に関心があることが分かった。資産管理のアドバイスに至っては、73%という高い数値を示している。

 半数近い消費者(48%)が銀行に対し、「住宅や車といった銀行以外の商品の購入をサポートしてほしい」、もしくは「それらの購入に関連するサービス(保険商品、販売および契約の手続きの支援など)があればいい」と回答している。銀行には、顧客の位置データ、購入価格帯、その他の個人的嗜好をもとに顧客それぞれに有益な情報をパーソナライズして提供してほしい、それによって各種の重要な決断を支援してほしいと消費者は考えている。

個人情報の貨幣化

 消費者は、より低料金で迅速なサービス提供といったメリットと引き換えに、自身のデータを金融サービス事業者と共有することに肯定的であることも分かった。世界の消費者の67%は、銀行が個人情報にアクセスすることを許可すると回答している一方で、消費者の63%は情報の共有と引き換えに、よりパーソナライズされたアドバイス、ローンのスピード審査・承認といった優遇サービス、より競争力のある料金設定といった金銭的なメリットを求めている。

 また消費者の過半数(57%)は、保険会社が個人情報にアクセスすることを許可すると回答しており、64%がそれと引き換えによりパーソナライズされたアドバイスを求めている。

消費者を3つのタイプに分類

 アクセンチュアは今回、消費者に対して、金融サービス事業者のどのような点を最も重視するか、将来どのような方法でサービスを利用したいか、デジタル・イノベーションをどのように利用しようとしているか、についても調査・分析し、消費者を3つのタイプに分類した。

遊牧民型(Nomads):積極的にデジタルツールやサービスを活用するグループであり、新しいデリバリーモデルを受け入れる準備ができている。調査対象となった消費者の39%がこのタイプに相当しますが、発展途上国ではその割合が高く、ブラジルではこのタイプが60%以上を占めている。

狩猟民型(Hunters):最も得をする方法を探し求めるグループ。調査対象となった消費者の17%がこのタイプに相当し、年齢層がやや高めの傾向にある。

品質重視型(Quality Seekers):高品質で迅速なサービスおよびデータ保護を求めるグループであり、消費者の44%がこのタイプに相当する。

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BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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