テクノロジーを“脅威ではなく味方”にする「Work Model 2030」の提案
私たちはテクノロジーによってなくなる仕事を心配する前に、テクノロジーとどう共存し、ビジネスやキャリアに活かし、新しい能力と結びつけていくかを考えなければなりません。これからどうテクノロジーと付き合うかということの方が、遥かに喫緊の課題です。
本イベントに先駆けて発表された「Work Model 2030」のプロジェクトリーダーである中村天江氏(リクルートワークス研究所 労働政策センター長)は、このように述べた。
中村氏によれば、第3次AIブーム、第3次ロボットブーム、第4次産業革命、シェアリングエコノミーの勃興など、2010年前後に様々な領域の技術が境界を越えて融合を始め、今はそれがビジネスや日常に入り込んでいくという画期的なタイミングを迎えている。
一時期「テクノロジーが仕事を奪う」という言説がもてはやされた。しかしテクノロジーに代替されるのは仕事を構成するタスクの一部で、仕事が丸ごとなくなるようなことはほとんどない。いかにテクノロジーを取り込んで新しい仕事の仕方に移行するかが重要だという認識が、冒頭の発言につながっている。
「Work Model 2030」では、そのような課題認識のもと、2030年にあるべき新しい働き方の提案と、そのための政策課題を提示している。提案されているのは、「4プロフェッショナル×2ステージ」で構成される働き方のモデルだ。
4つのプロフェッショナルとは、「ローカル/グローバルという活躍の場」と、「プロデューサー/テクノロジストという職務特性」の2軸の掛け合わせによる分類だ。そして2つのステージには、組織の中で働く「雇用ステージ」と、独立して働く「フリーランス/起業ステージ」がある。「Work Model 2030」では、この4つのプロフェッショナル領域と2つのステージを自由に行き来しながらキャリアを発展させていくことが、働き手の多様な個性を生み、社会を動かす原動力となるとしている。