エコシステムに必要な見る目のある投資家と若いオタク
栗島祐介(Supernova, Inc. Co-Founder & Director / Community Producer):
早速ですが、まず「スタートアップ・エコシステムと街づくり」*1に書かれている、「スタートアップに適した街」に必要な2種類の人間というのは具体的にどのような人でしょうか?
馬田隆明(東京大学 産学協創推進本部 本郷テックガレージ ディレクター):
これは Y Combinator の創設者 ポール・グレアムが指摘したもので、特定の街に健全なスタートアップ・エコシステムをつくるためには、「見る目のある投資家」と「若いオタク」が必要だと言っているものを引用したものです*2。
たとえば、お金持ちが住みたがる都市に一流の大学を作り、その場所をクラブよりカフェ、衣料店より古本屋といったように「オタクが好む街」にする。それにより、街全体がスタートアップを集積するようなハブになっていくのではないか、というものです。
栗島:
スタートアップは若いほうがいいのか、その若いという文脈には30代も含まれるのでしょうか?
馬田:
30代も含まれるかもしれませんが、ポール・グレアムの指摘には「大学」という文脈が入っていたので、もう少し若い気もします。
加藤由将(東京急行電鉄株式会社 「東急アクセラレートプログラム」運営統括):
この前、とあるVCさんにお話を伺った際、学生だけでなく、社会人経験を5〜10年くらい積んだ30歳前後の起業家が増えてきているのはとてもいい傾向だ、と指摘していましたね。
馬田:
そうですね、実際、Y Combinatorのプログラムに参加している人の年齢はこの10年で毎年1歳ずつくらい上がっています。
今はだいたい平均年齢が30歳くらいで上げ止まっていますが、B2Bのスタートアップが増えてきていることを考えると、やはり社会人経験が5年〜10年くらいの人がいいのかなという気はします。ただ、そこはバランスの問題ですね。個人的には若い世代から“外れ値”の高い突出した人材が出てくると思っていますが……。
栗島:
確かに外れ値が高いのは、若い世代な気がしますね。Supernovaコミュニティにいて最近開催されたDemodayで優勝したAMATELUS Inc. 代表の松田光秀さんは前職がとび職で、4年前くらいにプログラミングを学び始め、凄まじいな勢いでクレイジーな素晴らしいプロダクトを輩出し続けてますからね。
加藤:
起業家側を見ていても、大企業のイノベーター側を見ていても、その世代は飛び抜けたクレイジーな人が、たまに現れますよね。