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オープンイノベーションを“都市伝説”にしない「スケーラレーター」としての大企業の役割

ゲスト:東京大学 産学協創推進本部 本郷テックガレージ ディレクター 馬田隆明 氏(前編)

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 より良い「スタートアップ・エコシステム」のカタチを、多くの識者との鼎談で探求する本連載。第1回ゲストは、東京大学 産学協創推進本部 本郷テックガレージ ディレクターで、オープンイノベーションとスタートアップ・エコシステムに関するMedium(ミディアム)の記事が話題を集めた馬田隆明氏。鼎談のナビゲーターは、Supernova, Inc. Co-Founder & Directorの栗島祐介氏と、東京急行電鉄株式会社の「東急アクセラレートプログラム」運営統括である加藤由将氏が務めた。前編は大企業とスタートアップによるオープンイノベーションに関して、馬田氏の「視点」を中心に議論した内容をお届けする。

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大企業がスタートアップのノウハウを欲している?

栗島祐介(Supernova, Inc. Co-Founder & Director / Community Producer):
  先日から始まったスタートアップ・エコシステムに関しての鼎談連載ですが、第一回ゲストが馬田隆明さんということで、お二人ともよろしくお願いします。

加藤由将(東京急行電鉄株式会社 「東急アクセラレートプログラム」運営統括):
 こちらこそ、よろしくお願い致します。

馬田隆明(東京大学 産学協創推進本部 本郷テックガレージ ディレクター):
 よろしくお願い致します。

栗島:
 馬田さんといえば、スタートアップ・エコシステム、オープンイノベーションに関するMediumの記事が連載のテーマに最適だということで、前回の私たち対談で盛り上がりまして、今までの馬田さんのスライドシェアやMediumの記事なども参考にさせていただきながら、議論を進めていければと思います。

 Midiumの記事「経営者を育てるための起業: スタートアップは新しいビジネススクール」*1にあるように、大企業がスタートアップのスキルや人脈を欲している、という動きはあるんですか?

馬田:
 そのあたりは実際の大企業側のご意見をお伺いしたいです。どうなんでしょうか、加藤さん?

加藤:
 すごくありますね。プロパー社員(生え抜き社員)の多くは、既存事業を効率良く安定的に回すために徹底的に教育をされ、命令されたことを早く正確に実行する「オペレーティングな人材」として成長していきます。ただ、新規事業のような「熱意」や「意志」、そして「新たなクリエーション(創作)」が求められる業務においては、そもそも熱意や意思を持ってなかったり、やったこともないので「思考停止」が起きがちです。それはそうですよね。「何もない0から1を産む能力」と、すでに「90まで作られたところから100まで完成させる能力」って全く別ですからね。やっぱり、既存事業を回した経験しかない人がほとんどですし、新規事業を経験する機会自体が少ないので、大企業の「中」には少ないのだと思います。

 だからこそ、大企業の中ではなくスタートアップに人を放り込んで育てる、という動きが顕在化してきたのかと。MBAで経営学修士をとらせる効果とは別の効果があると感じ始めた企業が増えているように感じます。

 MBAはフレームワークなどを使いながら大量の情報を整理して迅速に経営の意思決定を行うという教育で、非常に学ぶことが多くありました。さまざまな大学院でMBAを取得できますが、新しいビジネスを生み出すノウハウを科目として持っているのは青山学院大学MBAのビジネスプランニングぐらいでしょうか。当然フレームワークは使いますが、それを壊して越えるような立体的な発想ができないと新規事業は生み出せないのではないかと。であれば、事業を立ち上げている最中のスタートアップに人を放り込んで“教育する”のが、「新たなクリエーション(創作)」という意味では有効だと思いますね。

次のページ
スタートアップは大企業の人材をどの段階で必要とするのか?

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