ミドルマネジメントがすべきこと~スタンスとしての葛藤解消、スキルとしてのモチベーションマネジメント
次に「人財の視点」で考えてみる。これは何も営業組織に限ったことではないが、組織創りをする上でミドルマネジメントの影響はとても大きい。組織の規模によってはトップマネジメントがダイレクトにメンバーと関わることもあると思うが、そうでない場合はトップと現場メンバーを繋ぐミドルマネジメントが変革の要となる。では、熱狂する営業組織を創る上でミドルマネジメントに求められるスタンス(役割認識)やスキルとは何だろうか。本来は状況に応じて役割を変え、様々なスキルを駆使しながら組織運営や事業推進をしていく必要があるので、限定して記載することは難しいが敢えてポイントを絞る意味で記載するならば、スタンスとしては「葛藤解消するリーダー」、スキルとしては「モチベーションマネジメント」を挙げたい。
二律背反的事象に対して意思決定し推進していく様を「葛藤解消」と表現している。そもそも「熱狂」というキーワードは、生産性の観点での「コストを下げる一方で、アウトプットを高める」、多様性の観点での「個を活かしながら、何らかの軸で束ねる」という、二律背反的事象の解決策として生まれたものだが、実は営業という領域で熱狂状態を創り出すそのプロセスにも二律背反的事象が内包されている。営業という世界はどうしても短期的に安定的で効率的な要素を求められることが多い。一方で熱狂するための要素はその逆で、ともすると時間がかかり、時に不確実で、一見すると非効率なことも必要になる。熱狂する組織の条件1.で示した目標に意味づけする行為も、条件2.で示した興味を持って深堀っていく動きも、条件3.で示した一人ひとりが自分事化していくプロセスも、条件4.で示した一つ一つに白黒つけていく判断も、条件5.で示したリスクを取った挑戦も、条件6.で示した簡単には共有できないモノこそ分かち合う取り組みも、日々の営業活動やチームマネジメントではスルーしたくなることばかりだと思う。ただ、その葛藤に打ち勝ちながら、逆張りに振って意思決定していく強さが求められる。その積み重ねが熱狂を生み出すのだと思う。