Next Actionにつなげる「コミュニケーションの視点」で営業組織を考える
コミュニケーションに関する取り組みと言われてもイメージしづらいかもしれないが、言い換えるならば「コミュニケーションの場づくり・機会づくり」と言える。組織の信頼構築や情報共有を目的に施策を講じるわけだが、熱狂する営業組織を創るためには、どのようなコミュニケーションを組織内で行き交わせるとよいのだろうか。熱狂する条件を参考に考えると、「目標」や「物事の背景やプロセス」を共有したり(条件1及び6.参照)、内容はどうあれ、まずはリアクションすることを心掛けたりすること(条件4.参照)がポイントになりそうだ。
最終的には然るべきコミュニケーションが自然に組織内に流通している状態が望ましいとは思うが、いきなりそのような状態を実現するのは難しい。だとすると、何から手を付けるのがよいのか。今回は営業組織という点から「営業会議」に着目したい。各社で「営業ミーティング」や「営業戦略会議」など呼称も、開催の頻度(週次、隔週、月次など)も様々だろう。ただ、何らか会議自体は実施していることが多いと思う。もちろん、無駄な会議は無くすに越したことはないのだが、有効に機能にする会議は、営業成果という観点でも、熱狂する組織創りという観点でも一つの効果的な手段になり得る。
実際、普段どのような営業会議を行っているだろうか。数字目標に対する進捗確認や結果報告に終始してしまっていることはないだろうか。そのこと自体は必要なことだとは思う一方で、それだけであればわざわざ会議をする必要はないかもしれない。また上司からの「目標に対する乖離をどうするのか?」という問いに対して、当該営業パーソンだけが考えて、「来週以降は行動量をもっと増やして頑張ります!」というような根拠の無い気合い論だけで議論が着地してしまうのももったいない。このような営業会議の中身を変えていくことが出来れば、営業組織の活性化の第一歩になるはずだ。
ここで意識したいキーワードは「Next Action」である。そもそも営業会議というのは、営業サイクルに合わせた定期的なチェック機能を果たすとともに、目標達成に向けた建設的なコミュニケーションの機会であることが望ましい。それは言い換えるならば、営業会議のコミュニケーションや議論の結果をNext Actionに接続させていくということだ。Next Actionを明確にして終える会議は営業活動のドライブになる。またやるべきことが明確になっていると、何となく手探りで進むようなことが少なくなるため、意志をもって白黒付けながら営業を進めることができる。それが結果として、有能感や手応えに繋がってくることもあるように思う(条件2及び条件3参照。※有能感は内発的動機づけに影響している要素の一つ)。
また逆説的ではあるが、効果的なNext Actionを打ち出そうとすると、そもそもの目標や目的にこだわる必要性や、チームメンバー同士が背景やプロセスを理解した上で相互に踏み込んだアドバイスし合う必要性も出てくる。営業会議を起点にNext Action思考のコミュニケーションが流通し始めると、組織は間違いなく熱狂に近づいてくる。ただし、営業活動をドライブさせるNext Actionベースの会議は、アジェンダを組み直すだけでは実現できないだろう。「人財」の側面からファシリテーションスキルも重要になるかもしれないし、次に説明する「インフラ」の側面からも環境を整える必要がある。