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熱狂する営業組織の創り方

組織が熱狂するための6つの条件:前編~「目標」「興味と内発的動機づけ」「近い距離感」

熱狂する営業組織の創り方:第2回

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 前回は今後本格化する働き方改革が影響を与える現代においては、「熱狂する営業組織」を創ることこそが企業の競争優位の源泉になることを論じてきた。今回は、前回のコラムの最後に紹介した“組織が熱狂するための6つの条件”を紐解きながら、より具体的なイメージを持って頂きたいと思う。

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「会社から下りてくる数字」でも、自ら掲げた明確な目標と置き換えることができるか?

 改めて、以下が“組織が熱狂するための6つの条件”である。

  1. 自ら掲げた明確な目標があること
  2. その取組み自体への興味が尽きず、心から楽しいと感じること
  3. 近い距離感でその取組みに関わっていること
  4. 自分の行動に対する結果が明確であること
  5. リスクある環境に身に置いていること
  6. 分かち合う仲間がいること

1.自ら掲げた明確な目標があること

 組織を変えていくうえで何より重要なものが「目標」だろう。当たり前のことのように思うかもしれないが、元サッカー日本代表・現今治FCの岡田武史監督がある講演で「今、皆さんが思っている10倍ぐらい、目標は大事です。目標は全てを変えます」と念押ししてらっしゃったのが印象的だ。私からは熱狂を生み出す目標の要素を2つ提示したい。

 1つ目は「自ら掲げた」という点だ。自分たちの意志が込められた目標は強い求心力を生み出す。これは『コミットメント効果』が働くからである。人は「思想」「感情」「行動」の間に一定の食い違いしか許容できないことが多く、ひとたび自分が決定を下したり、ある立場を取ったりすると、自分の中で「一貫性」を保とうする圧力がかかる。要するに自分達で掲げた目標にはこだわりが生まれるということだ。逆に単純に与えられ強制される目標では責任感のみで突き進むことになり、熱狂状態にはなりにくい。

 2つ目は「明確な」目標であるという点だ。何かをアクションする際に現在地と目標の乖離から然るべき行動を導き出すとするならば、目標が曖昧だと行動自体も曖昧になり、意志を持って突き進むことが出来なくなる。また人の視界の個別性や価値観の多様性などを鑑みると、明確な目標をもってベクトルを揃えることが、チームとして機能するポイントになる。

 ちなみに1968年にアメリカの心理学者ロックが提唱した目標設定理論も「目標設定の仕方が大きくモチベーションに影響する。そして本人がその目標を受け入れている場合、『明確』で高い目標であることが望ましい」としている。

 営業組織において目標は「会社から下りてくる数字」だという認識もあるだろうが、目標というのは数字目標だけではない。その前に、“自分達は顧客にとってどういう存在を目指すのか”という皆の想いを込めた営業組織像が明確になっているだろうか。また数字目標に関しても、どのような意味を付与するのかで組織状態は全く変わってくる。

 例えば、単純に「100万円の売上目標」と数字で捉えている状態と、一人ひとりが「売上というのは顧客の共感や支持の総量であり、新たに100万円分の共感を創造する」のが目標だと捉えているのとでは、営業活動の熱量は圧倒的に変わるのではないだろうか。さらに具体的に「そのためにはまだ取引実績のないA社の○○○という願望を実現すべく、自分も新たな価値を提供する!」と勝手に想像を膨らませ、ワクワクしているなら素晴らしいと思う。そこまで解釈して自分に落とし込んだ形で目標を捉えているならば、仮に自分で決めた目標でなくとも、それは自ら掲げている状態とほぼ同義(数字目標に対して自分なりの解釈を加えて掲げ直している)だと言える。

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この記事の著者

佐藤 利博(サトウ トシヒロ)

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