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「モノ」のデザインから「コト」のデザインへ

紺野 登/HCD-Netフォーラム2014:基調講演レポート

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「デザイン思考とHCD」と題した基調講演では、多摩大学大学院教授でJapan Innvation Network代表理事の紺野登氏が登壇し、イノベーションにおけるデザイン思考が企業にどのように捉えられ、コンセプトとしてHCDが関連してくるかについて話された。特定非営利活動法人・人間中心設計推進機構によるHCD-Netフォーラム2014が、5月23日に開催され、基調講演やパネルディスカションが行われた。

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モノと人との関係に着目してイノベーションを創発する

 Japan Innvation Networkの代表理事を務めている紺野氏は、日本企業からイノベーションがこれまで起きていないという現状を打開し、イノベーティブな日本企業を作り出すための活動を行っている。既存事業ではなく、新事業や新しい市場に向けたビジネスモデルのイノベーションを起こす必要性があると紺野氏は語る。

 組織内部にイノベーションを起こすエコシステムをどう起こすか。そのためには、人材育成が必要となる。そこで求められる知的な方法論として、デザイン思考を位置づけている。

 ビジネスの世界を見渡すと、Googleが買収したことでも有名なサーモスタットのNestがある。コンピュータによって自動で温度調整を行うサービスで、こうした「Internet of Things(IoT)」を通じたビックデータの考えが、いままさに求められているといえる。

 これまで日本企業が得意としていたプロダクト単体ではなく、モノと人、情報がネットワークを通じて社会と結びついていると言える。

 全自動運転の車やロボット開発、Google Glassなど情報と人とリアルの空間とが密接になってきている。2050年には、人口の約7割が局地的なメガシティで生活をするとも言われており、人間を取り巻く環境は加速度的に変わってきているなかで、ビジネスの価値の源泉が変わりつつあると紺野氏は語る。

 こうした技術の進歩が起きている中、医療法人のカイザーパーマネンテによる手術中の医者が操作しやすい機器の開発を例にあげた。病院内で起きる患者の急激な様態に対応するために、即座に情報にアクセスするセキュリティ用途で網膜や指紋認証といった最先端の技術を用いるのではなく、顔認証などのすでにある実践的に役に立つ技術を採用しているという。

 前提となるのは、いかに人間にとって利用しやすい環境にデザインされているか。これこそ、Human Centered Designの考え方だ。 

 紺野氏は、新しい技術ではなく人間の行動や振舞いにおいて最適なデザインを考えることが重要だと語り、「モノと人間の関係性におけるコト」を考えることから生まれるイノベーションを「Human Centered Innvation」と語り、現代においてイノベーションを生み出すために必要な方法だという。

 モノからコトへではなく、コトのなかにモノをいかに埋め込んでいくか。サプライサイドではなく、デマンドサイドからの発想でイノベーションを生み出すことが重要で、Human Centerd Innvationもそこに位置づけられる。

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モノのデザインからコトのデザインへのシフトが必要

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