デザイン経営の”ダークサイド”〜ジレンマを超えた先にあるもの〜
私が代表をつとめるHivelab Japanは、デザイン思考やサービスデザインに関する著書を多数執筆するテニー・ピニェイロ(Tenny Pinheiro)によって、2012年に設立されたHivelabの日本法人である。これまでに多くのクライアントと対峙し、サービスデザインや、デザインシンキングについての見識が深い企業でも、方法論の理解に苦戦している姿を多く見てきた。共創プロセスや理論的な枠組みの名称は把握していても、実ビジネスへの適用が難しいようだ。これらの従来的なデザインコンサルティング、また他のサービスデザインシンキング方法論に対してHivelab Japanでは、理論背景や、抽象的で難解なコンセプトの説明よりも、実践的なアプローチに重きを置いている。
まずは、潜在的なクライアントのニーズを探るところからスタートし、ワークショップでどのような”チャレンジ(課題を元に設定したテーマ)”に取り組むかを決定する。プロセスごとのタイムライン、スケジュールを明確にし、成果物創出までのプロセスを明らかにする。アップル社製品のユーザーは、iPhoneやMacに使用されているマイクロチップや伝導体がどのような働きをするのかまでは理解する必要はない。それと同様に、企業は我々の方法論を使用するために、デザイン理論やその他複雑な事柄まで細部を気にかける必要は全くない。