人事部門のリーダーに求められる「学習文化」の創出、重要となる“パーソナライズされた体験”
人事部門のリーダーは来年以降を見据えて人事業務に取り組むことに加え、さまざまな世代を共存させることも求められます。これは単にコンプライアンスの学習プログラムを組み直すだけではありません。人事部門は社員の成長とは何かを把握し、社員を再教育するために適切なテクノロジーと適切なスキルを持つ社員を見出すことが求められているのです。
オートメーションや機械学習の領域におけるテクノロジーの変革により、仕事の性質は変化しています。社員も多様な実務経験を求めはじめました。社員と組織、双方のニーズを満たすには、続けやすく互いが教え合うような学習文化の創出が欠かせません。
社員の再教育を考える場合、従来型の思考と学習方法とは決別し、これからの学習コンテンツをキュレーションする必要性を理解する必要があります。学習プログラムを見直すガイドラインの参考例として4つの戦略を紹介します。
1.“パーソナライズされた体験”を提供する
現代の社員は、個人のデバイスを操作しNetflixやFacebookを閲覧することに慣れています。それを考えると、今後ますます職場での学習コンテンツをパーソナライズすることの重要性が見えてきます。例えば、個人の興味・関心に基づくお薦めのコンテンツや、新たな職務との「関連性が高い」コンテンツの提供です。こうした提供方法は、従来の職場における学習に欠けていた視点です。
それぞれの社員固有のニーズと関心に合致するコンテンツを特定したうえで提供するには、スマートで直感的、そして何よりアクセスしやすう使いやすい人事システムが必要です。そのシステムを活用することで、社員は成長に役立つトレーニングや教育コンテンツを受け取ることができるのです。
カスタマイズされ目的に合った学習体験を提供できれば、社員の貢献意欲も高まるでしょう。社員は次のコンプライアンス研修を待つことなく、新しいスキルセットや技量、能力を伸ばすことに興味を持ち、仕事に取り組み続けることができます。
テクノロジーは大きな助けとなります。しかし、学習やトレーニング、コンテンツ開発のルールやビジネスプロセスを、最終的に策定するのは人事部門です。言い換えれば、人間の正確な判断と確かなデータに基づく意思決定が、キュレーションのプロセスにおいては依然として不可欠だということです。学習と成長 (L&D) を主導する人事チームが、戦略的思考になったのはごく最近です。かつてコストセンターと言われた学習を、人財を有能にする「ビジネスイネーブラー」へと変化させることができるのです。