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クリステンセン「ジョブ理論」入門

顧客の解読手法「ジョブスペック」を使おう

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クリステンセン氏が『イノベーションへの解』でジョブ理論を公表したのはもはや9年前だ。その後JTBDと親しまれていた「Job to Be Done」の考え方に精通していった人たちにとっても、新刊『ジョブ理論』で「ジョブスペック」という言葉は目新しく感じたのではないだろうか。今回はこのジョブスペックについて解説しよう。

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ジョブの存在はまだ始まりにすぎない

顧客に片づけるべきジョブが存在することがあったとして、それを適切に解決することができなければ、何も生まれない。朝の通勤時に退屈しそうだからといって、興味を引くものなら何でも良いわけではないのだ。解決を待っているジョブの存在に気づいたなら、ジョブの性質、つまりジョブスペックまで掘り下げることで適切な解決策をデザインすることができる。ジョブという輪郭の内側を埋める色合いがジョブスペックである。

“ジョブの存在に気づいたとしても、それはまだ始まりにすぎない。顧客に雇用してもらうまでには、ここから長い道のりがある。だが、片づけるべきジョブに対する真の理解はある種の解読機(デコーダー)となり、ジョブの解決策を具現化するためのジョブスペックを手に入れることができる。新しいプロダクトが成功するのは、その特徴や性能がすぐれているからではない。それに付随する「体験」がすぐれているからである。”(ジョブ理論)

輪郭、ジョブ定義文

ジョブスペックに入り込む前に、ジョブが定義できているかどうかを簡単に確認しよう。片づけるべきジョブの、まさに「輪郭」をくっきりさせるために「ジョブ定義文」を書いてみるとよい。顧客がどのような状況でジョブを解決しようとしているかを一文で表現するのだ。

この作業は案外難しい。もちろん仮説で構わないので、100%正しい必要はないが、顧客のジョブを一言で表現できるようにしたい。どのような状況下でこのジョブが発生する必然があるのかを言語化するのが秘訣だ。経験のいる作業なので、難しく感じるかもしれない。だが、顧客の立場を把握するインプットを続けていると、深い気づきが得られる瞬間があるものだ。この練り上げる作業を経て得られたジョブ定義文はこの先立ち返るポイントになる。

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この記事の著者

津田 真吾(ツダ シンゴ)

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