繰り返し、調整を行う「プロトタイピング」とその種類
4:プロトタイピング
デザインスプリントプロセスの中で、最も楽しいパートがこのプロトタイピングだ。ここでは実際に見たり触ったりできるいわゆる「デモ」や「モックアップ」のようなものを作るのだが、このステップにより、これまで議論してきたアイデアがより強固なものになる。目的は、コンセプトを具現化し、ユーザーからの直接的なフィードバックを得ることである。
日本では、コンセプトをアイデアにする際に、どうしても完璧を追求しがちである。もちろんプランニングから実行まで緻密に計画されている良い面もあるのだが、それでは多くの時間を要することとなってしまう。デザインスプリントにおけるプロトタイプは必ずしも精巧、もしくは完璧なものである必要はない。検証するだけならば、実物に類似したモックアップで十分なのである。逆に、様々な機能を盛り込んだプロトタイプを実装した場合、ユーザーは少し批評をためらってしまうかもしれない。というのも、人は、時間をかけて作り上げたものだと分かる完璧なプロトタイプを、悪く言うことはなかなかできないからだ。それでは、デザインスプリントの要とも言うべきこのタイミングで、せっかくのフィードバックをユーザーから得る機会を無駄にしてしまうことになる。