期せずして得られた偶発性からの“アイディアの掛け合い”がオープンイノベーションの真骨頂
OTON GLASSは、文字を読むことが困難な人のためにデザインされたスマートグラスである。ファウンダーの島影氏が、脳梗塞の後遺症で言語野に障害が残り、読む能力が低下した父のために開発した。
つまり、困りゴトではない新規事業のタネを作るための試みとしてアート作品を選ぶ予定だったものが、切実な困りゴトを解決するバリバリの実用品を選んでしまったことになる。この作戦変更はかなり議論を呼んだが、結局このまま進むことにした。それはOTON GLASSがヤマハチームの妄想を相当に刺激し、想定していた作戦から乗り換えてでも、この作品を解釈してみたいという欲求が大きくなってしまったからだった。