なぜオープンイノベーションなのか──“思考の檻”から抜け、偶発性と多様性を担保する

第4回

 新種のダイエット手法は定期的に出現する。魅力的な謳い文句に世の中は色めき立ち、こぞって群がるが、次の手法がフォーカスされれば比較的あっさりと乗り換えられる。筆者もかつてはスーパーマーケットにバナナや納豆を買いに走ったクチだ。今度こそ最高の手法に違いない、そう思って取り組めど、いやもっと良い手法があるはずだと次を渇望する。絶対成功する手法なんて出てこないことは薄々分かっているというのに。そう考えるとダイエットと新規事業はよく似ているのかもしれない。
 今回の連載では、そんなカオスを渡り歩く新規事業創出担当の筆者が思う、オープンイノベーションの「偶発性」と「多様性」について、そして実際にどんなことを実施してきたのかをお話しようと思う。

[公開日]

[著] 畑 紀行

[タグ] イントレプレナー 事業開発 オープンイノベーション イノベーションのジレンマ アイディア創出

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「考え過ぎずに動くべし」──なにしろ、動くことでしか偶発性は手繰り寄せられないのだ

 偶発性。漢字で書くとなんとなく格好良いが、平たく言えば「たまたま」「行き当たりばったり」である。新規事業においてはこの偶発性をどう取り込んでいくのかが一つのポイントだと思うが、恐らく日本中の多くの経営層にはウケが悪い。

キミ、このビジネスプラン、2年後のこのタイミングでこれだけ売上が伸びるのはなぜだ?

はい、今はまだ分かりませんが、このタイミングで何らかのイベントが発生し、ある領域のビジネスが急激に立ち上がります。それに連動するカタチでこちらの人気にも火が点きます。あ、さらにその半年前にとあるセミナーでたまたまそのビジネス領域のキーマンと意気投合していて、非常に近い位置で協業を始めていたのもポイントです。多分。

という説明が通ることはまず無い。そのくせ案外成功事例なんてそんなもんだったりするから厄介だ。

 筆者の経験でも、あの頃あのアイディアを通せていれば、ちょうどローンチのタイミングでアレが世界的に流行したので、たまたまバッチリ乗っかれて、今頃美味しいビジネスに成長していたのでは? というネタが少なくとも3つ存在する。全部が上手く行くことはまず無いだろうが1つくらいホームランになっていても不思議ではない。(と思いたい)

 しかし、偶発性が幾重にも重なり、その結果生まれる成功を事前に論理的に説明するなんて不可能だ。

 前回の記事では、アイディア条件を提示し、それをクリアできるようにアイディアを練ろうという内容、つまり「よく考えるべし」と書いた。しかしそう書いておいてなんだが今回はこう言いたい。

 「考え過ぎずに動くべし」。なにしろ、動くことでしか偶発性は手繰り寄せられないのだから。

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