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日本人としての「デザイン思考/HCD」の本質

渡邉康太郎、他/HCD-Netフォーラム2014 パネルレポート

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真の顧客中心設計にするために、社会と企業との関係を見出す

安藤 昌也▲ 写真:安藤 昌也 氏(HCD-Net理事・千葉工業大学准教授)

 安藤氏は、HCDやUXDという言葉の広がりと同時に、言葉の持つ意味を改めて見直すことが大切だと語る。多くの企業が、顧客中心主義をうたい、「人間中心設計」を行っているように見えるが、実際には顧客である人間を見ておらず、「KPI中心設計」になっていると指摘。デザイン思考やHCDに対しては、「ツールとしての認識ではなく、企業文化という観点」で根付かていくことを考えなけばならないと語る。

なぜ顧客中心主義なのか、企業とサービスの文脈において、人間中心設計の必要性を問い直さなければいけない。UXデザインは、ただのツールではなく、企業における価値発見や価値実現、さらに企業がもつ価値伝達が含まれている。社会において、企業をどう発信するか、社会と企業との密接な関係を考えなけばいけない

デザイン思考は「手法理解」の段階から「本質的な実践」の段階へ向かうべきとき

渡邉 康太郎 氏 と 外山 雅暁 氏▲ 写真:(左から)
外山 雅暁氏 (特許庁総務部国際協力課意匠政策班班長課長補佐)
渡邉 康太郎 氏(takram design engineering ディレクター)

 パネルディスカッションでは、HCDという考え方をどう社会の中で認知させ、共有していくかという話題へと移った。外山氏は、普段は官公庁のデザイン政策において、デザイン思考を活用したイノベーションにおける企業課題解決の支援を行っている。そうした中、経営者自身がデザイン思考へ意識を向け始めているという。

経営という視点の中で、デザイン思考を取り入れようとする人たちも出てきています。大事なのは、デザイン思考を組織デザインや経験デザインを行うものとして捉えようとうすることです。よりいっそう経営者に理解を広げていくためには、経営者の視点で伝わる言葉に変換することが大切 (外山氏)

 安藤氏は、大学におけるデザイン思考の授業において、デザイン思考の手法そのものではなく、なぜその手法が生まれたのかという歴史を教えているという。

デザイン手法やビジネスモデルは、その方法が生まれる前の労働環境や社会的な問題があり、その解決という必要性から試行錯誤して生まれています。手段そのものではなく、目的に応じて手法を作り出すということが大切 (安藤氏)

 常に新しいメソッドを生み出している渡邉氏は、既知の分野だけではなく、既知と未知が入り混じった分野に身を投じ、分野横断のアクションをすることによって、メソッドをアップデートさせることができるという。

大事なのは、「ジャンルを横断する越境力」。それによって、多様性や新しい可能性を見出すことができます (渡邉氏)

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日本人のもつ、多様性の価値を見出すこと

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