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SDGsから未来の市場を創る

Global Risks Reportから考える、世界が注目する環境リスクが企業に与える影響と機会とは

第3回

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 企業経営のひとつの軸となりつつある「SDGs」。しかし、戦略的に経営に組み込めている日本企業はまだわずかです。連載第3回では、「目標14(海の豊かさを守ろう)」、「目標15(陸の豊かさも守ろう)」を取り上げ、SDGsを競争力のある戦略・戦術に落とし込むためには、何をすべきなのか? 世界の最新動向をご紹介しながら、解説します。

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重大なビジネスリスクTOP10に変化あり―世界が注目する環境リスク

 2018年1月、経済、政治、学究などのリーダーたちにより組織される世界経済フォーラムが、13回目となる「グローバルリスク報告書」を発表しました。

 本報告書では、30個のリスクに対して、世界の専門家約1,000人がアンケートに回答。この先10年間で発生の可能性と負の影響の高いリスクは何か、発表されています。意思決定者となるビジネスリーダーにとっては、自社のリスクを考える上で非常に重要な調査結果です。

 2010年頃までは、政治や金融に関するリスクが上位を占めていましたが、近年では、異常気象、自然災害、気候変動の緩和や適応への失敗など環境面に関することが上位を占めるようになっています。その中で、「生物多様性の喪失、絶滅と生態系の崩壊」も影響の大きいリスクとして懸念されています。

Global Risks Report2018(出所)Global Risks Report2018

タイトル SDGsにおいては、海や森の豊かさを守ることの重要性を認識するために、しばしばヨハン・ロックストローム氏とパヴァン・スクデフ氏による「SDGウェディングケーキモデル」が紹介されます。「海や森の豊かさや自然」に関する目標が土台となっており、その上に「社会と経済」に関する目標が置かれていることがわかります。これは、空気、水、食料など、自然や生物からもたらされるさまざまな恵みによって、私たちの日々の暮らしや経済活動は支えられていることを示しています。この基盤を持続可能な形で維持し、地球上の誰一人として残さずに、その恩恵を受けられるようにすることがSDGsのゴールです。

タイトル具体的な目標として、「目標14(海の豊かさを守ろう)」では、海洋及び沿岸生態系の保全、海洋汚染の予防、海洋資源の持続可能な利用によって小島嶼開発途上国(※1)と後発開発途上国(※2)の経済的利益を増大させること。

タイトルまた、「目標15(陸の豊かさも守ろう)」では、陸域生態系の保全・回復、森林の持続可能な経営、砂漠化など土地の劣化の阻止、生物多様性の損失に終止符を打つことが掲げられています。

※1:太平洋・西インド諸島・インド洋などにある領土が狭く、低地の島国のこと。小島開発途上国は、小さな島で国土が構成されるため、地球温暖化による海面上昇の影響や、人口減少、自然災害など島国固有の脆弱性のために、持続可能な開発が困難だとされている。
※2:国連が定める社会的・経済的な国の分類の一つ。開発途上国の中でも特に開発が遅れている国々のことを指す。LDCs(Least developed countries)と呼ばれる。

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この記事の著者

末次 貴英(スエツグ タカヒデ)

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