共通言語としての「パーセプションフローモデル」──主観的なマーケティング管理から脱却するには?

Biz/Zine Day 2018 Spring レポート Vol.5

 3月20日に行われた、Biz/Zine Day 2018 Spring。クロージング・クロストークに、株式会社クー・マーケティング・カンパニーの音部大輔氏とFICC inc.の荻野英希氏が登壇した。今年1月に独立し、CMOをシェアリングするというユニークなサービスモデルで企業へのマーケティング支援をスタートした音部氏とデジタルマーケティングのコンサルティングを行う荻野氏。本稿では、荻野氏によるセッション「顧客データからマーケティングの全体像を可視化する〜データドリブンIMC〜」と両氏のクロストークをお届けする。

[公開日]

[講演者] 荻野 英希 音部 大輔 [取材・構成] マチコマキ [写] 和久田 知博 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] マーケティング 事業開発 パーセプションフロー IMC 統合型マーケティングコミュニケーション 定性調査 定量調査

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データに基づくブランドマネジメントを実現する「IMC」と「パーセプションフロー」

 第二部は、「顧客データからマーケティングの全体像を可視化する ~データドリブンIMC~」と題して、自社のビジネスにパーセプションフローモデルを取り入れている荻野氏による、データに基づいたIMC(Integrated Marketing Communication:統合型のマーケティングコミュニケーションのこと)設計の方法が語られた。

 パーセプションフロー設計時、課題となるのは消費者の態度変容をどのように捉えていくかだ。そこで荻野氏は、建設業界で行われている設計図のリバースエンジニアリングにヒントを得て、消費者のリアルな態度変容プロセスを調査し、再現性の高いパーセプションフローの作成に取り組んでいる。

 そのステップは、次の通り。

パーセプションフロー

 まずオンラインの定性調査でターゲットとなる消費者の態度変容プロセスを調査し、ひとりひとりのパーセプションフローを作成。それを個票としてまとめ、再度定量調査を行い、精度をあげていくという方法だ。

 とくにブランドコミュニケーションの支援が多い荻野氏は、消費者のエモーショナル・ベネフィットに着目し、「自己承認の獲得・社会的承認の獲得・自己一貫性の維持・社会的一貫性の維持」という4つのセグメントにターゲットを分類。そしてそのセグメントごとに、パーセプションフローを作成している。

タイトル

パーセプションフローがあることで、市場創造からブランド広告・販売促進・プロモーションなど一気通貫してマネジメントできますし、施策ごとの効果測定が可能です。さらにエージェンシーに対して客観的なブリーフを共有することもできます。(荻野氏)

 クライアントとエージェンシーの間には、しばしば非効率な作業進行が発生する。その理由のひとつに、想定外のアドバイスやダメだしが出てしまうブリーフなきフィードバックの場がある。パーセプションフローに基づいたブリーフがあれば、それを元に相違点の確認をするという正しいフィードバックを行うことができるというわけだ。

 またパーセプションフローは、クライアントやエージェンシー同士の共通言語にもなる。共通言語があれば、ステークホルダー同士のコミュニケーションミスも減り、プロセスの改善にもつながっていく。

 「とくにブランドマーケティングは、パーセプションフロー・モデルなしでは実現できない」と荻野氏。顧客データが大量にある現代だからこそ、データドリブンを用いることに活路がある。運用とテストを繰り返した精度の高いパーセプションフローを、マーケティング活動の基盤にしていこうと提案した。

荻野英希荻野 英希氏(株式会社エフアイシーシー 代表取締役社長)
2013年からWPPグループ最大のデジタルエージェンシー VMLの日本代表を兼務。ブランドマーケティングを専門として、ラグジュアリーブランドから消費財ブランドまで、数多くのグローバル/ナショナルブランドへ革新的なデジタルマーケティングのコンサルティングサービスを提供。海外での知見を取り入れた世界水準のデジタルマーケティングを日本で推進すべく、執筆活動やイベント登壇も行っている。

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