総務省による「平成28年度における行政手続オンライン化等の状況」の公表をうけて、1.6億件の申請件数に対してオンライン申請されているのは約1割であることがわかった。株式会社SmartHRでは、その実態を探るために「社会保険・労働保険におけるオンライン申請の認知度に関する実態調査」を実施した。
調査は、全国の大企業・中小企業の就業者825名(うち人事労務担当者=424名人事労務担当者以外=401名)に対しておこなわれた。
行政手続オンラインの利用率を分野別でみると、6割を超える登記(68.4%)、国税(60.1%)の分野に対して、社会保険・労働保険(11.8%)の分野はようやく1割を超えた段階であり(昨年度は8.9%)、まだまだ浸透していないことがわかった。
調査結果サマリは以下の通り。
- クラウド人事労務ソフトを活用したオンライン申請を「知っている」人事労務担当者のうち61.2%が「活用したい」と回答。現場の活用意向は高い。
- 人事労務担当者以外は「知っている」が16.9%で、人事労務担当者とそれ以外での認知度は35.2%の差がある。
- クラウド人事労務ソフトを導入しない要因としては「費用対効果が不明確」(48.9%)が最も多く、「セキュリティ面での不安」(21.6%)「承認が得られない」(17.3%)といった理由が続く。
労務手続におけるオンライン申請の利用方法は、各府庁のオンライン手続きのe-Govから申請する方法と民間のクラウド人事労務ソフトを導入して申請する方法の2通り。
2015年後半に登場したクラウド人事労務ソフトは、e-Govの認知度を10.4%上回り、その差異はクラウド型特有の手軽さや、提供する民間のソフトウェア会社の宣伝活動等によるものと推測される。
クラウド人事労務ソフトの人事労務担当の認知度は52.1%と半数を超えた一方で、一般的な認知度は16.9%にとどまり、その差は35.2%と大きく開いている。
企業規模別では、中小企業と大企業での認知度や活用度の差はわずか6.1%で、オンプレミス型を配置する傾向が多い大企業にも、クラウド活用の可能性は広まっていくと考えられる。
情報通信業(73.7%)が突出して高いのは、ITソリューションに関する最先端の情報を取得できる環境にあることが理由と思われる。続く、製造業(55.2%)とサービス業(51.3%)では、人材不足を解決すべく、様々なITソリューションが登場していきていることが大きな要因と考えられる。それらの活用はフロントオフィスだけにとどまらず、人員増が難しいバックオフィスにも新しいソリューションを導入する検討段階にきているといえる。
クラウド人事労務ソフトを知っている人事労務担当者のうち、61.2%が「自社での活用を検討したい」と回答しており、導入に対して積極的であることが明らか。一方で、他部門では28.8%と開きがあり、活用に対して認識の差が大きくなっている。
クラウド電子申請を未だ活用してていない理由としては、 「費用対効果が不明確」(48.9%)が最も多く、「セキュリティが不安」(21.6%)「上長の決済や社内理解が得られない」(17.3%)といった理由が続く。
この結果に対して、SmartHR 副社長兼最高開発責任者(CPO)の内藤研介氏(TOP写真)は「電子政府、e-Govは改善を重ねてきており、APIの外部連携も可能になり、SmartHRもいち早く対応している。国税のe-Tax)と比べると社会保険手続のオンライン申請の普及率はまだまだ低いのが実情。e-Gov API 連携に対応したOSSを公開することによっ e-Gov API に対応するソフトウェアが増え、さらに普及していくことを期待している」と語る。