伝統的な日本の大企業は「欧米型設計・生産アプローチ」にどのように対峙すべきか?
次に、欧米型の設計・生産アプローチとの違いを見てみよう。まず、設計アプローチについてはどうだろうか。日本では、前モデルの踏襲や、物理的なモックアップに基づいた設計開発がモノづくり企業にとって「聖域化」されてきた。一方、欧米型は可能な限り共用化を前提とした設計・生産アプローチをとる。企画・設計段階では3D CADによるデジタルモックアップが半ば常識化し、その後の製造工程で差別化のカギを握っていた「属人的で高度な技能」をもデータに置換することで平準化を図っている。
その代表的な例が部品表の持ち方である。日本では個別モデルを部品単位で構成するリストベースBOM(部品表)を前提に、様々なオプションを組み合わせるマトリクスBOMが一般的である。一方で欧米のBOMはモデルによらない共用化を目的とし、統合型PDM(製品データマネジメント)を前提とした構造化BOMが一般的である。