セミナー概要
【第一部】今、何がファッション企業を追い詰めているのか?
講師:株式会社シンクエージェント代表 樋口 進
かつて一世を風靡したDCブランド、オンリーショップ、セレクトショップ、SPA、ファストファッション、……その時代時代に様々な業態が登場してトップの座を奪い合ったファッション企業。目まぐるしく変化する日本の小売業の中でファッション企業は常に時代の先頭を走ってきました。しかし、今そのファッションチェーンが大きな岐路に立たされています。
接客技術や自らのスタイルを売りにしていた売場スタッフの力は弱まり、セルフ志向や価格志向のお客様が増加する中で、Eコマースへのシフトが声高に叫ばれています。しかし数多くのファッションモールはタイムセール/クーポン合戦に走り、プロパー価格をシーズン初期で破壊することが定常化。生活者は『何が本当の価格なのか?』わからない状態で安さを追い求める傾向が強まっています。
デジタルも実店舗も、本来は生活者に商品価値を正確に伝えて満足感を与えるべきところを、現在の構造はむしろファッションが持っていた付加価値と消費喚起力を破壊しています。これは、今の主流であるセレクトショップやSPA業態が台頭する以前、メジャーなマスチェーンであった鈴屋、鈴丹、三愛などが凋落していったプロセスに酷似しています。今の各企業の経営を担う皆さんにその認識はあるでしょうか?
本セミナーでは、トレンドであるデジタルマーケティングやAI、オートメーションの手法を踏まえつつも、サプライヤーである皆様がお客様に付加価値を提供しつづけるにはどうすれば良いかを、MD、営業チャネル、デジタル技術を横断して探っていきたいと考えます。
【第二部】グローバルSPAの雄“ZARA”はなぜ強いのか?
講師:有限会社ディマンドワークス代表 齊藤 孝浩
今年は2008年のH&M日本上陸から10年目、ファストファッションは日本のファッションマーケットに定着し、市場では次の流通革新が始まる転換期です。その中でも、注目なのは、世界一のファッション専門店企業であるインディテックス・グループ。その強みは、規模の大きさや独自のQR生産体制だけではなく、時代に合ったビジョンを掲げ、常に顧客起点で考えるしくみと組織をつくるところにあります。同社の取り組みからは規模に関わらず、ファッション流通マーケットの現在と未来を考える上で学ぶエッセンスが満載です。 2014年に出版され、ベストセラーになった「ユニクロ対ZARA」(日本経済新聞出版社)の著者であり、その後もZARAを始めグローバルSPAをウォッチし続けている講師が、進化を続けるZARA(インディテックス)の強みをあらためて整理しながら、同社の最新動向と未来に向けてのビジョンを解説します。