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「新規事業提案制度」事務局運営のリアル

「挑戦が当たり前の企業文化」を目指す富士通の取り組み──運営者に聞く“学び”と“実践”の場づくり

第2回 ゲスト:富士通 斉藤一実氏、川口紗弥香氏、殿村亜希氏(前編)

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 多くの企業が設けるようになってきている新規事業提案制度。毎年多くのアイデアを集めていたり、事業化や会社化まで至っていたりと取り組みが進んでいる新規事業提案制度は、運営においてどんな試行錯誤や工夫がなされているのでしょうか。本連載では、イノベーション鈴木氏がホストとなり、先駆的な試みを実施している新規事業提案制度の事務局運営者との対談を通じて、新規事業提案制度の運営のヒントを探ります。今回のゲストは、富士通株式会社で新規事業創出プログラム「Fujitsu Innovation Circuit」の事務局を務める、斉藤一実氏、川口紗弥香氏、殿村亜希氏。前編では、FICの全体像について詳しく伺っています。※所属は取材時のものです。

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「挑戦」を生み「多様な人材」が集う新規事業創出プログラム

イノベーション鈴木氏(以下、イノベーション):本日は、私の前職である富士通の新規事業創出プログラム「Fujitsu Innovation Circuit」(以下、FIC)の事務局運営についてお話を伺います。まず皆さんのご経歴とFICでの役割をお聞かせください。

斉藤一実氏(以下、斉藤):新卒で富士通研究所に入社し、研究技術を事業化することに従事してきましたが、2015年頃に「組織全体で仕組みを作れば、もっと多くの新規事業を生み出せる」と感じ、2021年にFICを立ち上げました。現在はFICの運営に関わり、事務局全体のマネジメントを担当しています。

川口紗弥香氏(以下、川口):私はRidgelinezで、製造業を中心に、新規事業やサービス開発の支援を行っていました。その中で「企業には常に新しい挑戦できる人材と制度が不可欠だ」と痛感し、ちょうど富士通にFICというプログラムがあることを知り、異動を決めました。2023年からFICの運営に携わり、社内の新規事業創出の環境作りを中心に取り組んでいます。

殿村亜希氏(殿村氏):私は2018年に富士通に入社しました。それ以前は精密機器メーカーで新規事業事務局を運営しており、一度起案者側になったこともありますが、新規事業に関わる制度や支援が不十分なことに限界を感じて転職しました。富士通にはFICというプログラムが整備されていることを知り、運営として合流しました。現在は主に、FICを通じて新規事業が生まれるように、社外との共創を推進しています。

富士通株式会社 CEO室 DX div. 殿村亜希氏
富士通株式会社 CEO室 DX Division. 殿村亜希氏

イノベーション:多様な挑戦への意欲が、FICに集まっているのですね。具体的な活動内容を伺う前に、まずは根幹となる富士通の会社概要について伺えますか?

殿村:富士通のパーパスは「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」であり、この実現に向けて「挑戦」「信頼」「共感」の価値観を大切にしています。特に、私たちFICの運営チームは「挑戦」の価値観を重視し、プログラム作りに活かしています。

 富士通は従業員が約12万4000人を超え、ITサービス分野において、日本国内で高いシェアを誇ります。FICの活動は、代表取締役社長の時田(隆仁氏)の直下で、会社全体の変革を推進する「フジトラ(Fujitsu Transformation)」の中に位置づけられており、執行役員の福田(譲氏)がこの取り組みをリードしています。

イノベーション:国内外に拠点を持ち、グローバルに事業を展開しているのも富士通ならではの強みですよね。

殿村:ヨーロッパやアジアパシフィック地域にも大きな拠点があり、世界中で50以上の拠点で活動しています。また、2021年には「Fujitsu Uvance」という事業モデルを打ち出し、お客様とともにサステナビリティ・トランスフォーメーションを加速するために、7つの重点分野を定めました。社会課題を起点として、クロスインダストリーでお客様の成長に貢献するデジタルサービスを提供するという戦略です。

 新規事業創出の観点ではM&Aやスタートアップ投資、合弁会社の設立といった成長戦略が進められています。特にFICは、社員が主体的に事業を提案して社内起業を実現できます。M&Aなどに比べて、確かに時間はかかりますが、長い目で見て会社全体を強くし、組織の内部から変革を促す重要な役割を果たしていると自負しています。

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富士通の挑戦文化を支える「FIC」の役割

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この記事の著者

皆本 類(ミナモト ルイ)

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