デンソーはどのように社内に“シリコンバレー”を作ったのか──「CASE+MaaS」時代の生き残り策

Biz/Zine Day 2018 Summer レポート Vol.5

 100年に1度の大変革期を迎えると言われる自動車業界。自動車部品のグローバルサプライヤーとして知られるデンソーもまた、その大変革期に対応するべく積極的なデジタルシフトに取り組んでいるという。7月12日に開催されたBiz/Zine Day 2018 Summerに、同社のデジタルシフトを牽引するMaaS開発部 部長 兼 デジタルイノベーション室 室長の成迫剛志氏が登壇し、直近1年間の取り組みを紹介した。

[公開日]

[講演者] 成迫 剛志 [取材・構成] 伊藤 真美 [写] 和久田 知博 [編] 梶川 元貴(Biz/Zine編集部)

[タグ] 事業開発 デジタルトランスフォーメーション モビリティ MaaS CASE

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ITのカンブリア大爆発、破壊的イノベーションに鈍感な自動車産業、危機感を抱くデンソーの新しい取り組みとは

 先進的な自動車技術や部品、システムのサプライヤーとして世界中に顧客に持つ「デンソー」。自動車業界の大変革期が迫る中、同社もまた生き残るために、そして戦略的に勝ち残っていくためにデジタルシフトの取り組みを進めているという。

 なぜ、デンソーがデジタルトランスフォーメーションを始めたのか。成迫氏はその背景に「ITのカンブリア大爆発」があると語る。IoT、人工知能、ロボットなどのテクノロジーのアンビエント化が進み、スモールビジネスでも十分に手の届くコストで一気に普及したことで、様々なビジネスが爆発的に増え、同時に淘汰されていく、そんな時代になったというわけだ。

これまではITはビジネスプロセスを支えることが主目的で『ビジネスを支えるもの』でしたが、これからはITでビジネスをする、ITでビジネストランスフォーメーションを行うという時代になってきています。ITとビジネスは対等であり、まるで2つが同時に回って進む車の両輪のような位置づけとなるでしょう。この『IT自体が変わった』という認識を理解する必要があります。

 インターネットが普及し始めた1990年代は、ここまでインターネットがなくてはならないものになっているとは誰も思わなかったはずだ。それがインターネットで「つながる」だけではなく、様々なテクノロジーによって「つながってできること」が一気に増えたことで、社会にすっかり定着した。そして、その変化は連続していくことは明らかであり、想像以上に早く、速く訪れ、これからの5年10年は大変化が来るだろう。

 実際、成迫氏は製造業でその変化が既に始まっていることを指摘。テレビは高機能化を図るもののコンテンツ企業にその主役の座を奪われ、同じく高機能化を図った携帯電話もiPhoneやAndroidのようなITプラットフォーマーに席巻されている。オーディオも同様で音質などよりもコンテンツやUXによるエコシステムを実現した企業の後塵を拝するようになってしまった。人々の価値はモノよりコンテンツやUXに主軸を置くようになり、そこに対応しきれなかった日本のモノづくり企業が凋落の目を見ることになったというわけだ。

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