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変化を嫌う組織の中で、いかに新しい事業を育てるか──QUANTUM井上流、ビジネスデザイン「3つの定義」

Business Design Talk Vol.01 ゲスト:QUANTUM井上裕太氏【前編】

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そもそも大企業は「既存事業に最適化されている」という前提からはじめる

井上裕太氏(以下、敬称略):私は最初にマッキンゼーに入社し、コンサルティングの分野からキャリアをスタートしました。当時は企業変革をするとか売上げを倍にしたいという企業からの要望に応える、チェンジマネジメントという分野に携わっていました。このような仕事は、それまでとまったく違う方法を取らないと決してうまくいきません。例えば日本企業が海外での売上げ比率を5年後までに、現在の5%から50%まで上げたいとなると、あるべき組織の姿がまったく変わってきます。そのビジョンを描いて中枢となる部署をパートナーとともに立ち上げるのが中心的な業務でした。

独立してシリコンバレーと行き来しはじめた後は、国内外で大企業やスタートアップ、省庁、NPOもふくめた、あらゆる組織形態のパートナーと、新しい事業の仕組みを作る仕事をしてきました。その中でも日本の大企業で新規事業を作る案件は非常に苦労しました。良いと思える企画が、さまざまな理由で経営会議に通らない状態を何とか改善するお手伝いができればと思い、2014年にQUANTUMを立ち上げました。

大企業で新規事業に携わる方は、きっと共通した悩みを持っていると思います。よくあるのが、経営陣を説得することに時間を取られすぎて、プロダクト開発にリソースが割けないという悩みです。「もっと精緻なプランを出せ」と言われて何度提出しても企画が通らない、あるいは企画がある程度進んだ時に、「うまくいくかもしれないけどリスクもあるから、会社の名前を出してはやれないね」と言われるなど。日本の大企業は、未経験の分野の成果物を外に出すのが苦手なんです。

それは、外に出すことで既存事業に悪影響があったらどうするんだという、当然の不安から来るのだと思います。だから、良いプランが出ても結局ローンチできず終わる、半年リサーチしている間に旬が過ぎ去るといったことがよく起きるのです。そして新規事業担当者たちからすれば、自分たちは顧客とやりとりしたいのに、何であの上司を説得するのに労力と情熱を使っているんだ?ということになりやすいのです。

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