アクセンチュアは、G20若手起業家連盟(G20 YEA)と共同で、調査レポート「求められる教育の変革(It’s Learning. Just Not As We Know It)」を発表した。このレポートは、先端技術によって職務や役割がどのように変化するかを明らかにした上で、新たな職務や役割の実行に求められる新しいスキルを特定している。さらに、これらの新しいスキルを効果的に習得するには、教育や企業研修を3つのアプローチで変革することが必要であると指摘している。
このレポートによると、労働時間の51%(対象14か国平均)および54%(日本単独)は、先端技術による高度化の余地があるという。また、労働時間の38%(14か国平均)および36%(日本)に自動化の可能性があるとしている。しかし、その影響は職務内容や地域によってさまざまで、高度化機会を増やし、リスクを管理するためのターゲットを絞った施策の実行が必要になる。
アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 人材・組織管理 マネジング・ディレクターの宇佐美潤祐は「日本におけるリスキルの重要性は殊の外大きいと言えます。人工知能(AI)などの先端技術を活用できる人材を効果的かつ効率的に育成できなければ、10年間で5,440億ドルの日本の経済成長が危機にさらされ、GDPに毎年1.6ポイントのマイナス効果を与えるという調査結果が出ています。この数値は調査対象14か国の中で、中国、インド、米国、ブラジルに次ぐ5位の規模となっていますが、逆に言えばAIの活用余地が大きいことを意味しており、経営のトップアジェンダとして位置付けて、取り組みを進めることが重要です」と話す。
アクセンチュアは、求められるスキルとのギャップ解消に向けて次の3つのアプローチを推奨した。
- 経験学習の加速化
- 組織ではなく個人に焦点を当てる
- AI弱者に学習の機会を与える
アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 人材・組織管理 マネジング・ディレクターの植野蘭子は「日本企業は、元々現場でのOJTに根差した経験学習や、幅広いスキルセットを持った人材の育成に長けており、リスキルの土壌はあると言えます。したがって、AI時代において求められる新たなスキルセットを明確に定義することが出来れば、むしろ、今後の日本企業の優位性の源泉になる可能性があると考えます」と語った。