自社のサービスを使い切っているから、心からの提案ができる
――長田さんがソフトブレーンに戻られた時、リーマンショックの影響などもあり、やや停滞気味だった業績をまた伸ばされたと伺いました。どのような取り組みをなさったのですか?
2010年5月に、現在の社長である豊田が就任し、「原点回帰」という経営方針を掲げました。そこから改めて、自分たちのツールを自分たちできちんと使いこなそうということになったのです。自ら使っていくうちに見えてきた使いにくい部分を次々に改善し、2010年度に完全リニューアル版としてリリースしました。
もちろん、プロダクトを変えるだけでは不十分です。「営業を科学する」という考えのもとに、目標から逆算して、プロセスを予算化することにしました。世の中ではKPIと表現されるものです。結果が出ればOKではなく、営業プロセスをマネジメントする。目標予算を掲げて、根性論で「1日3件回れ!」と叫ぶだけでは、目標は達成されるとは限りませんよね。しかし、成約率が何%、平均受注単価が何%と数字が見えていれば、必要な見積もり件数、訪問件数、成約率をあと20%改善するにはどうしたらいいかなど、科学的に分解、見える化し、改善することができます。
そして、スマホが普及するタイミングとも重なりましたので、デバイスとして活用することで業務を効率化しました。また、営業の生産性を向上するのためには「コア業務に集中する環境を整える」ことが必要です。当社の営業のコア業務は、「顧客接点活動」です。当社もかつてそうだったのですが、多くの営業は、資料作成や会議に時間をとられ、コア業務に集中できていませんよね。そこで当社は改善を行い、スマホで「この件よろしく!」と出先からメッセージを送ることで、内勤の方が見積もりを作成し、場合によっては顧客に送付してもらうような体制を整えています。私も、新幹線で出張先に向かいながら、スマホで見積もり承認を行っています。
これらの取り組みを、コツコツ積み重ねてきた結果、一歩ずつですが業績にも表れてきているのかなと思います。そして、自分たちで使い切っているツールをお客様にご提案しているため、お腹の中から説得できている。それが信頼につながっているのではと考えています。
――今後の展望をお話ください。
労働人口の減少と生産性向上でお悩みの企業はまだまだ多く、我々のビジネスのマーケットはニーズは高いと感じています。そんな中、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの連携を重要キーワードとして掲げています。我々自身も、マーケティングとセールスが一体化し、インサイドセールスとフィールドセールスが有機的につながりながらも分業化していくことが必要です。また5年ほど前に、ツール導入後にお客様をフォローアップするチームを作ったのですが、定着率96%という驚異的な数値を叩き出しています。この取り組みのノウハウをお客様に提供し、お客様が自分たちで改善をし続けられるようなサービス、集合型教育研修、コンテンツを充実させていきます。組織全体として、カスタマーサクセスに貢献できるような方向にドライブをかけようとしています。
――最後に、長田さんにとって営業とは? 漢字一文字で表現してください。
当社も掲げる「営業を科学する」という考えかたが、私自身もとても好きです。その意味で、科学の「科」の字を選びました。
――ありがとうございました!
ソフトブレーン長田さんも登壇する「Biz/Zine Day」、1月30日開催!
イベント概要
-
【名 称】Biz/Zine Day 2019 Winter サブスクリプション経営戦略
~「カスタマーサクセス」と「顧客体験設計」による、次世代経営 - 【日 時】2018年1月30日(水)10:30-17:55 ※受付開始10:00
-
【会 場】大崎ブライトコアホール
〒141-0001 東京都品川区北品川5丁目5-15 大崎ブライトコア3F - 【参加費】無料(事前登録制)
- 【主 催】株式会社翔泳社 Biz/Zine編集部
- 【詳 細】https://event.shoeisha.jp/bizzday/20190130/