「良いCX」に「良いEX」が不可欠な理由──EXの鍵となる「4つのフォーカス」とは
続けて、アメリカのLCC・ジェットブルーの事例を挙げる。
クアルトリクス導入後、乗客数の回復や座席数を増やす施策で売上げを伸ばしてきた同社。NPS®スコアが13ポイント上がり、コストは300億円以上カット、450億円ほどの売上げアップを実現――と、CXのビジネスへの高い影響度を、如実に証明している企業である。
このような成功事例を聞くと、自社でもさっそく取り組まなくてはと焦りも生まれるだろう。しかし花田氏は、「CXプロジェクトは情熱的なリーダーが必要ですが、それだけでは成し遂げられません。良いCXの提供には、従業員満足度が重要であることに企業は気づくのです」とし、2つ目の従業員に関するエクスペリエンス(EX)について語った。
往々にして、企業と従業員の間にはエクスペリエンスギャップが生じている。その理由に花田氏は、「人事調査をすることが目的となり、本来の改善行動まで手が回らないためではないか」と人事側の問題を指摘。そこで、複雑なことはソフトウェアに任せ、人事は従業員のエクスペリエンスマネジメントの改善に集中すべきだと提案した。
人事制度も大きく進化し、成果報酬型の従来的な「トランザクショナル・リーダーシップ」から、啓蒙型の「トランスフォーメーショナル・リーダーシップ」へシフトしつつある。
そのような中、従業員エクスペリエンスでフォーカスすべきは、IMPROVE/REDUCE/Identify, retain and develop/NCREASEの4つ。
従業員にビジョンを展開し、モチベーションを上げるようなカリスマ的なリーダーシップが求められている。さらに従業員のモチベーションを保つ要素は、多様性・ダイバーシティ・社会貢献・キャリアへの向上へと変わってきているのだ。
講演で事例として挙げられたコカ・コーラ社では、入社から退職までの従業員満足度を追い、ひとりひとりの改善点や貢献度まで追うライフサイクルを実現する。
クアルトリクスに7万人以上のサーベイをまかせ、正しいパフォーマンス分析と評価を設計。ディレクションの透明性に賛同する従業員が15%アップし、給料の妥当性に同意する人も10%増加。パフォーマンスが低いと評価され改善に繋げた人の割合が28%と、著しい効果に繋がっている。