カスタマーヘルスには表れない課題を解消するカスタマーイベント
新規顧客を獲得した後は、カスタマーサクセスの領域になっていく。このカスタマーサクセスでは、解約率やカスタマーヘルス、ログイン履歴などを確認する重要性が語られる。しかし、村尾氏は、10年以上サブスクリプション型ビジネスを行い、毎月システムの更新を行なってきたシャノンならではの視点から、とある問題を紹介した。
それは、「顧客のカスタマーヘルスは良好だが、顧客にこちらからのメッセージが届かず、新機能を使ってもらえない」という問題である。もちろんハイタッチの顧客であれば、担当がきちんとコミュニケーションを行うために問題にはならないが、ロータッチ、テックタッチの顧客になればなるほど、機能を進化させ、それを発信しても、気づいてもらえないのだという。新規導入をした時には機能をよく確認するが、すでに業務に組み込まれているものの場合、なかなか使い方を変えられないものだからであろう。そこにサブスクリプション型ビジネスのカスタマーサクセスは問題を抱えている。しかも解約率やカスタマーヘルス、ログイン履歴などを見るだけではアラートが立たない。
シャノンはイベントマーケティングから始まり、セミナーマーケティング、今はマーケティングオートメーションの企業だとメッセージを変えてきている。しかし、長期の顧客であればあるほど、イベント管理のシステムを提供している企業だとイメージを持っているという現状があった。この問題を解消するために、シャノンは300名規模のユーザーカンファレンスを開催。12時から18時までのイベントの後に懇親会を行なった結果、シャノンのイメージを大きく変えられたという。
カスタマーイベントは拘束時間が長いゆえに、顧客体験の設計がしやすい。シャノンのマーケティングオートメーションのシステムにはオフラインサポートが豊富に用意されているが、その使用状況を見ても、大きな企業でも新機能拡充の際にはイベントを行なっているのがわかるという。
サブスクリプション型ビジネスにおけるマーケティングは変化し、今までと違ったところに配慮しなければならない。そんなことを実感する講演だった。