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自律型人財に必須の“VRA”とは?

確実に問題解決に向かうためのアクション──バイアスを取り除く「変革目標」と継続のための「優先順位」

第4回

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 新規事業を創り出す自律型人財の行動原則とは。これまでは、企業が継続的にイノベーションを創出できる組織となるには人財一人ひとりの「変化への対応力」を鍛えることが重要であること、またそうした力を備えた人財を「自律型人財」と定義しました。そして「自律型人財」には行動原則があり、それは「軸を創る(=Visioning)」、「変化に気づく(=Reflection)」、「試行錯誤する(=Action)」の3つであることをお伝えしました。  今回は、これらの行動原則の3つ目、「試行錯誤する(=Action)」について具体的にお話ししたいと思います。

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やってしまいがちな“その場しのぎ”のアクション「コインの裏返し」と「モグラ叩き」とは

 第2回では、新しい取り組みをスタートさせるにあたり「Visioning」がなぜ重要なのか、どのように自らの軸を見出すかをお話ししました。そして第3回では「Reflection」により自らの変化に気づくと同時に課題を発見するプロセスについてお伝えしました。次は「Action」を考える段階に入ります。Actionには、Reflectionと同様に個人としてのものと、リーダーとしてのものがありますが、今回は個人としてのActionを取り上げます。自律型人財にとってのActionとは、「(1)アクションを設計する→(2)行動に移す」の2つの要素を含み、またVisioningとReflectionとも密接にかかわります。

 最初に「(1)アクションを設定する」で“やってしまいがちな行動”を2つご紹介します。

 アクション設定の際によくやってしまうのが「コインの裏返し」です。これは、気づいた課題に対してその逆のことを改善アクションとして設定することです。たとえば「会議では遠慮してしまい、自分の意見を積極的に発言できていなかった」ということに気づいた場合、「これからは積極的に発言するようにしよう」と、単に課題の反対のアクションを設定する状況を表しています。しかし、そもそも積極的に発言できない理由があったから起きていることですから、アクション設定したからと言って簡単に発言できるようになるでしょうか。「さすがに、そんなバカなことはしない……」と思うかもしれませんが、実際にあなた自身やあなたの周りを注意深く観察してみると、様々なところでこういった「コインの裏返し」が起こっていることに気づくでしょう。

 次に注意したいのが「モグラ叩き」。これは、今見えている状況の原因分析を行うことなく「とりあえず火を消そう」「とりあえず対処しておこう」と、その場しのぎの打ち手を実施することです。たとえば、「なかなか事業アイデアを思いつかない」という課題に対し、「じゃあ、情報収集するためにイベントに多く行こう」「色んな人に会いに行ってみよう」「外部の力を借りてアイデアを出してもらおう」といったような、思いつきで行動する類の打ち手です。もちろん事業アイデアを検討する際に、こうしたアクションは必要になる場面もあります。

 しかし「なぜ事業アイデアを思いつかないのだろう」といった問いをもっと掘り下げていくと「実は自分の中で“コレ!”という強い想いを持ち切れていない」や「評価を気にして、思いきった発想を避ける傾向にある」といった本質的な要因が存在しているかもしれません。こうなると、思いつきによる打ち手が本来の課題にマッチしていないため、結局は問題解決には至らないのです。

 こうしたやってしまいがちな行動に共通するのが、「論理的思考」が欠けているという点です。ある課題に対し「なぜなのか」と突き詰めて、根本的な原因を追究することができていないのです。人はこと「自分に関する問題」になると、「なぜ?」という問いかけを始めると、思考停止してしまう傾向があります。課題を深堀していくことで、自分の見たくない内面を直視することを無意識に恐れているのです。

 しかし、「コインの裏返し」や「モグラ叩き」のような、その場しのぎの打ち手だけでは、いつまでも同じことの繰り返しです。解決するのに遠回りですし、もしかしたら辿り着かないかもしれません。このためアクション設定においては、本質的な自己課題に向き合いやすい環境を作ることが重要です。そこで、その環境を作るのにポイントとなる「バイアス(固定観念)」について考えていきたいと思います。

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効果的なアクションを妨げるのは個人の価値観と結びついた“バイアス”

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この記事の著者

杉山 誠(スギヤマ マコト)

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