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自律型人財に必須の“VRA”とは?

新規事業を率いるリーダーに求められるVRAの実践──メンバーを自律型人財に育てるマネジメント法

第5回

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 新規事業を創り出す自律型人財の行動原則とは。これまでの連載を振り返ると、第1回では継続的にイノベーションを創出できる組織にするためには人財一人ひとりの「変化への対応力」を鍛えることが重要であること、またそうした力を備えた人財を「自律型人財」だと定義しました。「自律型人財」には行動原則があり、それは「軸を創る(=Visioning)」、「変化に気づく(=Reflection)」、「試行錯誤する(=Action)」の3つです。  前回までは個人としてのVRA(Visioning、Reflection、Action)が中心でしたが、最終回はリーダーとしてのVRAについてお話ししたいと思います。リーダーとしての「Visioning」は既に触れていますので、こちらを参照いただきながら「Reflection」と「Action」に焦点をあてて説明していきます。

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チームのビジョンをメンバーの「ジブンゴト」にするには?

 リーダーは、個人としてのVRAを行動原則として徹底していることが前提となります。そのうえで、「(1)自ら納得感のあるVを描きメンバーと共有(=Visioning)」→「(2)一人ひとりを理解し、想いを引き出す(=Reflection)」、→「(3)メンバーが活躍する場を作る(=Action)」という3つのステップでVisionを軸にチームメンバーの内面に働きかけながら能動的な行動を促します。これがリーダーとしてのVRAの基本となります。

 リーダーとしての「Visioning」は、個人としてのVRAサイクルを回しながらチームのビジョンを作るところから始めます。リーダーとしてVisionを貫いていくには、個人としての強い想いが反映されていることが必要です。もちろんリーダーの想いだけでなく、メンバーとの対話を通じてメンバーのビジョンへの納得度を高めたり、ビジョンそのものを磨きこんだりしていきます。この流れは連載の第2回第4回に詳しく記載していますので、あらためて振り返ってみてください。ここでは、どのようにメンバーの納得度を高められるのかを詳しく説明します。

 ポイントは、メンバー一人ひとりが「ジブンゴト」として捉えることです。そこで「リーダーがメンバーを理解する」時間をとり、「その後にビジョンを伝える」という順番で取り組むことをお勧めします。

 掲げられたビジョンに対し、メンバーがどう考え行動するかは、みなさんが思う以上に様々です。ワクワクするビジョンを目の当たりにすると、「やってみたい!じゃあ自分は〇〇にチャレンジしよう」という発想に結び付くメンバーもいれば、「ビジョンはわかった。でもそれが自分の業務にどうつながるのだろう……」と悩むメンバーもいます。メンバー自身が実現したいことを言語化できていなければ、チームビジョンを自らの行動に重ねるのはますます難しくなります。

 だからこそリーダーはまず、一人ひとりとの時間をとって「働くうえで、何を大切にしているのか」「どういう時に自分の気持ちが上がるのか」と問いかけながら、メンバー自身の価値観を一緒に言語化していきます。リーダーがメンバーの価値観や想いを理解している関係性を作ったうえで、リーダー自身やチームのビジョンを伝えるのです。

 ビジョンを伝える時は「このチームでは〇〇といった目標を目指したい」、「〇〇という戦略で進みたいので、あなたには〇〇にチャレンジしてもらいたい」と、具体的な目標や期待する行動も伝えるのが良いでしょう。メンバーの価値観や想いを認識したうえで彼らへの期待を設定し伝えることで、メンバーは自らの業務がどのようにビジョンにつながっていくかをイメージできます。チームのビジョンだけでなく、その実現に向けての自分への期待が示されることで、メンバーは目的地に対して「ふーん(=タニンゴト)」とならずに「今はこれを期待されているのか」、「自分はこんな役割を担おう」と、「ジブンゴト」へとつなげていくことができるのです。

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この記事の著者

杉山 誠(スギヤマ マコト)

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