「人本主義」への回帰で復調する、日本的経営のメリット・デメリット
実際、リーマン・ショック後、2009年に底を打った日本経済はそこから徐々に回復し、もはやバブル期の経済規模を凌駕している。なぜ回復が可能になったのか。伊丹氏はその理由を3点挙げる。まず1つ目は「現場主導の地道な改革」をしっかり行なうようになったこと。米国型をまねた形だけの経営はリーマン・ショックで一気に瓦解し、本気で改革に取り組むようになったというわけだ。
そして2つ目は「複雑性セグメントへの注力の成功」を挙げる。いかなる産業においても、複雑な手間ひまのかかる工程があり、たとえば自動車業界におけるハイブリッド車などの複雑で大変な部分は日本企業の強みだ。そこに注力したことで生産価値が向上したというわけだ。そして、3つめに「ピザ型グローバリゼーションへの努力」を挙げ、「海外展開を拡大しながらも真ん中の“トッピング部分”を手放さずに充実させた」と解説した。